トップページ > なっとく法律相談 > 警備員の職務上の行為で暴行罪は成立する?
なっとく法律相談 2007年12月25日 更新
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飲酒した人の入館を禁止している施設で、警備員が腕を持ったり背中等を押したりして退館させることは、暴行罪にあたるのでしょうか?
相手は、「暴力はよせ!」などと言って抵抗をするので、多少の力は入ります。それで相手の肩がはずれたりした場合、傷害罪になってしまうのでしょうか?
(30代:男性)
暴行罪は、「暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき」(刑法208条)に成立します。
少し変わった規定の仕方ですが、これは、暴行を加えた結果、相手が傷害を負ったとき―ケガをさせたり、気を失わせたりしたとき―は傷害罪(204条)が成立するため、傷害を負うまでに至らなかった場合を、単なる暴行罪として処罰するとしたのです。
これら暴行罪・傷害罪における「暴行」とは、「不当な有形力の行使」をいうとされています。有形力の行使とは、相手に対し直接的に力を振るうことです。相手の傍にある机を叩いたりすることは、暴行にあたりません。
そこで、警備員が入館者の腕を持ったり背中を押したりする行為は、形式的には暴行にあたります。それによって肩がはずれたら、傷害にあたります。
しかし、警備員は、指示に従わず入館しようとした者を退出させるため、職務上有形力を行使したものです。これは、「法令又は正当な業務による行為」(刑法35条・正当行為)にあたるといえます。
犯罪は、(1)行為が構成要件(刑法に定められている罪)に該当し、(2)違法性が認められ、さらに(3)責任を問える場合に、はじめて成立します。
たとえば、「ノイローゼにかかっていて責任能力がなかった」等と言われるのは、最後の(3)責任能力のことを指しています。ある行為をした人に対し重い罪を課すことができる根拠は、その人が自己責任においてその行為を選択したからです。ノイローゼにかかっていては正常な判断ができませんから、そのような異常な精神状態にある人に罪を課すことは許されません。
同様に、ある行為が外見上は刑法上の罪にあたっても、それに正当な理由がある場合は、罪を課すことはできません。正当防衛(刑法36条1項)はその例です。
もっとも、正当行為や正当防衛は、その必要性が社会的に認められているからこそ違法性がないと評価されるのですから、過度に相手を害する行為までが違法性が阻却されるわけではありません。
したがって、警備員は、その業務を達成するに必要な限度で有形力を行使することが許されます。
その結果、相手が傷害を負っても罰せられませんが、それはあくまで、原因である有形力の行使が過度なものでなかったことが必要です。
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