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なっとく法律相談  2008年1月23日 更新

値上げをしない約束の受講料を値上げされた!

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Q.

 4年前のこと、某スポーツスクールが会員を募集しており、「期限までに入会すれば、永久に受講料の値上げがない特別会員」というので入会しました。入会規約は手元にありません。 
  ところが、「原油価格の急騰に伴う経費増加を自助努力のみで吸収することは困難な状況」という理由で、月会費が¥210~¥315値上げされることになりました。
  金額は僅かではありますが、一度認めると、今後もなし崩しにこのような値上げをされる可能性があるかもしれません。まずはこの段階で違法と唱えることはできるのでしょうか?

(30代:女性)

A.

 まず、スポーツクラブの会員契約において、永久に受講料を値上げしないとの約定は有効でしょうか。
  本来、不可能なことを条件としたり約束したりする契約や条項は無効だと考えられています。有効だとすると、その契約や条項に法的な拘束力が発生します―すなわち、その契約によって発生した義務を履行しないと、債務不履行責任を負うことになります(民法415条)-しかし、不可能なことはそもそも履行できないことが明らかなのですから、そのような条項に法的な拘束力を認める理由がないのです。
  では、永久に受講料を値上げしないことは、社会通念上不可能でしょうか。
  提供するサービスの内容によっては不可能だといえるものもあるでしょうが、スポーツクラブの利用においては、契約者本人の利用に限られ、相続や譲渡の対象ともされていないのが通常なので、その会員が生存している間に限れば、永久に受講料を値上げしないことも可能といえるでしょう。

 では、永久に値上げしないという約定が有効だとして、原油価格の高騰等社会経済的事情の変化により、義務を履行しないことが認められるでしょうか。
  判例は、当事者が契約当時予測できなかった事情の変化により契約上の債務を履行することが困難になった場合に、限定的ではありますが、契約の内容を変更することを認めています。
  具体的には、契約締結後その基礎となった事情が、当事者の予見し得なかった事実の発生によって変更し、このため当初の契約内容に当事者を拘束することが極めて過酷になった場合には、解除や改訂が認められる、というものです(事情変更の原則)。
  ただ、事情変更の原則が安易に認められると、相手方当事者が不利益を被ります。
  そこで、変更が認められるための要件としては、(1)契約当時その基礎となっていた事情が変更したことのほか、(2)当事者がその変更を予見できなかったこと、(2)その事情が当事者の責に帰すことのできないものであること、(4)その結果、当初の契約内容に当事者を拘束することが信義則上著しく不当だと認められることが必要だとされています。

 本件では、(1)~(3)は認められるとしても、(4)が明らかではありません。スポーツクラブの会員数や、現在の受講料と原油価格の高騰により値上げすべき価格の対比などにより決することになるでしょう。
  ただ、会員契約が会員とクラブの間で個別に交わされるものであるとはいっても、相談者一人だけを従来の受講料に据え置くことは、現実に困難なことだと考えられます。
  また、このような不測の事態が発生した場合の処置について、約款に記載があればそれに従うことになります。

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