トップページ > なっとく法律相談 > 交通違反の取り締まりで他人の氏名を署名。どのような罪になる?
なっとく法律相談 2008年4月23日 更新
トラックバック(0件) ブックマーク:
(0)
(0)
(0)
無免許で車を運転し、警察に携帯電話注視で止められました。
免許不携帯であると嘘をつき、他人(兄弟)の氏名・住所を伝えその場を凌ぎました。
その場は、違反切符を切られず後日出頭するよう言われました。
警察には、免許が見当たらないということで出頭を引き延ばしにしていますが、出頭した際、他人の名前などを使用したことを伝えた場合、偽証罪になりますか?
また、その場で逮捕・拘束をされますか?
その後の罰金などの支払いで懲役は免れますか?
(30代:男性)
偽証罪(刑法第169条)は、「法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたとき」に成立する犯罪であり、あなたは(1)宣誓していないこと、(2)証人ではなく将来被告人となる立場であること、からあなたが警察に他人の氏名・住所を伝えた行為は偽証罪となりません。
犯人蔵匿罪(同法第103条)、証拠隠滅罪(同法第104条)についても犯人自らが犯す場合には期待可能性に乏しいため、不可罰とされています。
よって、交通反則切符を切られていない現段階で、あなたが他人の氏名・住所を伝えた(氏名冒用)行為は不可罰です。
では、あなたが後日出頭し、交通反則切符中の違反者が作成すべき供述書の末尾に他人の氏名を署名した場合はどうでしょうか。この場合、「行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文章を偽造した」ことになるので、有印私文書偽造罪(同法第159条1項)が成立し、3月以上5年以下の懲役に処せられます。そして、偽造した交通反則切符を警察に提出すれば、虚偽私文書行使罪(同法161条1項)も成立します。
例え他人が氏名冒用に同意し、その同意に基づきあなたが交通犯則違反切符の違反者が作成すべき供述書の末尾に他人の氏名を書いたとしても、その行為は有印私文書偽造罪となります(最決昭和56年4月8日)。(1)内容が交通法規違反者本人に帰属していること、(2)もっぱら本人に対する公の手続きに用いられる文書であること、(3)交通事件の簡易迅速処理に関する文書であることから、他人の同意は無効になるからです。
ですから、あなたとしては警察に出頭し交通反則切符を作成するに先立ち、正直にこれまでの事を話し、交通反則切符にはご自身の氏名・住所を記載するべきです。
又、違反現場で他人の氏名を冒用したこと自体で処罰されることは無いにしても、自らの犯した行為について真摯な反省が見られないことをもって氏名冒用が量刑に影響を与える可能性は否定できません。
無免許運転は法定刑として30万円以下の罰金か1年以下の懲役刑が予定されており(道路交通法第64条、同法第117条の4第2項)、交通反則切符が交付される通常(氏名冒用など無い)のケースでは記載された日時場所(簡易裁判所)に出頭すると簡単な事情聴取があり罰金がその場で決まります。罰金額は運転車種や常習性などによって異なりますが初犯で15~20万円の罰金となることが多い様です。ただ、あなたの様に氏名冒用があれば、罪障隠滅の虞や逃亡の疑い有りとして逮捕・勾留された(刑事訴訟法第60条1項)上で正式裁判となる事も考えられます。その場合、罰金ならば最高額の30万円、前科(同種2回以上)があった場合には懲役刑となる事もあります。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日