トップページ > なっとく法律相談 > 他人の土地を経由して引いていた水道管を、所有者変更に伴い撤去すると言われています
なっとく法律相談 2008年5月12日 更新
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現在、大通りに面した料亭だった土地を経由して、水道を引いています。
ところが1年前料亭が破産し、土地は不動産会社の所有となりました。
不動産会社としては、私水道管を撤去すると言ってきています。
もともとは料亭に一番近いAさん宅が料亭と契約して水道を引き、我が家はAさん宅と契約して引かせてもらいました。
しかし契約したのは50年程前でAさんも既に亡くなって今は孫夫婦がそこに住んでいます。我が家も契約したのは祖父母で契約書すらありません。
既に50年使ってきたにもかかわらず、地主が変わり私水道管を撤去すると言われたら従う他はないのでしょうか?
(40代:女性)
Aさんが元料亭所有の土地経由で水道を引くための権利としては、(1)賃借権によるもの(民法第601条)、(2)地役権によるもの(同法第280条)、の2種類が考えられます。
地役権とは、特定の土地(本件ではAの土地)の便宜を図るために他の土地(本件では元料亭の土地)を利用する権利の事です。
Aさんと元料亭との契約が、(1)賃貸借契約である場合でも、(2)地役権である場合でも、契約当事者以外の不動産会社に対して、Aさんが水道を引かせて貰う権利を主張するためには、賃借権の登記(同法第605条。不動産登記法第3条8号)あるいは地役権の登記(民法第177条。不動産登記法第3条4号)が必要となります。
これらの登記は、不動産会社による、元料亭の土地の所有権移転登記より先になされていなければなりません。
ですから、これらの登記がなされているかどうかを、法務局で確認してみてください。Aさんがこれらの登記をしていれば、Aさんの孫夫婦はその権利を不動産会社に主張できますので、不動産会社は私水道管を撤去することはできません。
又、約50年間に亘り利用し続けていたとの事から、(1)賃借権や(2)地役権の時効取得も思い浮かびますが、結論から申し上げますと、あなたのケースでは時効取得は成立しません。
(1)賃借権を時効取得する(民法第163条)ためには、「賃借の意思」に基づく土地の継続的な用益という外形的事実が必要となります(最判昭和43年10月8日)。(2)地役権は、「継続且つ表現のもの」に限り時効取得できるとされています(同法第283条)。
この点、地下に管を通す水道管は、地上からはその存在を認識する事ができません。その水道管を継続的に利用したとしても、その利用は外形的事実を伴わず、「不表現」といえます。
ですから、(1)賃借権も、(2)地役権も時効取得することはできないのです。
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