トップページ > なっとく法律相談 > 自賠責保険未加入で運転する叔父。どういった責任が生じる?
なっとく法律相談 2008年7月 7日 更新
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わたしの叔父が、祖母名義の車を自賠責保険未加入で運転しています。
叔父にはどういった責任が生じるのでしょうか。特に死亡事故などを起こしてしまった場合が心配です。自賠責保険に加入するよう言っても聞き入れてくれません。どうしたらよいか教えてください。
また、車の名義人の祖母は、現在寝たきりで植物状態なのですが、責任は祖母にも及ぶのでしょうか。
さらに、祖母の息子、娘、孫である私にまで責任は及ぶのでしょうか。
(30代:男性)
まず、叔父さんの責任について考えてみましょう。
叔父さんは、自賠責保険(共済)に加入せずに自動車を運転しています。この無保険運行は、たとえ事故を起こしていなくても、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられ、刑事上の責任が生じる可能生があります(自動車損害賠償保障法5条・86条の3第1号)。また、交通違反として6点減点され、即座に免許停止処分となり行政上の責任も発生します。
仮に、死亡事故などの人身事故を起こしてしまった場合には、保険に加入していない以上、自ら莫大な損害賠償額を支払わなくてはなりません。
ですから、非常に深刻な事態であることを叔父さんに認識してもらい、なんとしても自賠責保険に加入してもらってください。
それでも自賠責保険に加入しない場合には、国土交通省が自賠責保険加入を確認できない際に、その旨の通知書(ハガキ)を発送するなどして注意喚起を実施していますので、一度相談してみるとよいでしょう。
また、自賠責保険(共済)は、損害保険会社(組合)の支店等をはじめ、クルマやバイクの販売店などで取り扱っていますので、そちらに問い合わせてもよいでしょう。なお、保険契約者は何人でもよいので、あなた自身が自賠責保険契約を締結し、憂いを除くことも可能です。
さらに、告発(刑事訴訟法239条)をすることもできます。告発とは第三者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告し、その訴追を求める意思表示です。叔父さんは無保険運転という刑事責任の発生する犯罪行為をしているので、あなたが告発することは可能です。ただし、刑罰は最終手段だと思いますので、まずは国土交通省の担当部署や損害保険会社(組合)に相談してみるとよいでしょう。
次に、車の名義人であるあなたの祖母の責任はどうでしょうか。
叔父さんが、人身事故で他人の生命を害した場合には、「自己のために自動車を運転の用に供する者」いわゆる「運行供用者」は、損害を賠償する責任があります(自動車損害賠償保障法3条)。
ここにいう「運行供用者」とは自動車につき(1)運行支配(例えば所有権、賃借権、使用貸借権などをはじめ、事実上自動車の運行を支配管理する地位があればよいとされる)を有し、かつ(2)運行利益(経済的利益のみならず、間接的、心理的・感情的利益も含むとされる)を持つ者をいいます。自動車運転につき危険を支配管理でき、利益を得ている者が、事故の責任を取るのが社会的に公平だろうという考えに基づくと思われます。
では、今回の件で祖母は「運行供用者」に当たるでしょうか。
現在祖母は寝たきりで植物状態ですから、叔父に車の返還を求め得ず、事実上運行を支配管理できないので(1)運行支配は否定されると思われます。また、同様の事情から(2)運行利益も得ているとは言えないでしょう。
したがって、あなたの祖母は「運行供用者」に当たらず、叔父の事故につき法律上損害賠償責任を負うことは無いと考えられます。
最後に、祖母の息子、娘、孫であるあなたの責任についてですが、各々が「運行供用者」に当たるような事情がなければ法律上、直接責任を負うことはないでしょう。
集計期間: 2008年8月24日-8月30日