トップページ > なっとく法律相談 > 突然の立ち退き要求!期間の延長や立ち退き料増額の要求はできる?
なっとく法律相談 2008年9月16日 更新
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実家の年老いた母が35年間住み続けた借家について、いきなり立ち退き要求されました。
今年の8月7日に大家がどこかの不動産屋と一緒に家に来て「10月いっぱいで立ち退いてくれ。引越し代8万円と、5万円までの物件なら敷金、礼金、手数料を払いますよ」といってきました。
敷地内には同じ建物が全部で8軒建っており、そこを全部つぶして新しくアパートを建てるそうです。しかし ある会社に丸ごと貸すので入居は出来ないとの事。
現在の家賃は2万5千円。母も73歳になり、少ない年金生活。家賃5万円では、生活できないと言います。それでも、先方の決めた期日までには、出て行かないとならないのでしょうか?
出て行かざるを得ないとしても、立退料の増額は認められないのでしょうか。
(40代:男性)
大家がお母さんに立ち退きを求めるには、35年間お母さんが住み続けた建物の賃貸借契約を終了させなければなりません。
そして、お母さんが家賃を滞納しているなどの債務不履行がない限り、大家が契約を終了させるには、更新の拒絶が認められるか(契約に期間の定めがある場合)、解約の申入れが認められる必要があります(期間の定めがない場合)。
あなたのお母さんの借家契約に期間の定めがあるのかどうかが分からないので、期間の定めがある場合とない場合に分けて見ていきましょう。
なお、今回のケースでは、35年住み続けているという事情により建物の賃貸借契約が借地借家法施行(平成4年8月1日)前にされたと思われるので、更新拒絶の通知や解約の申入れに関しては旧借家法が適用されます(借地借家法附則12条)。
まず、あなたのお母さんの借家契約に期間の定めがある場合について考えてみましょう。
契約に期間の定めがあれば、その期間満了までは、突然貸主が借家契約を終了させることはできません。
家主は期間満了前の(1)1年前から6ヶ月前までの間に更新拒絶の通知をして(借家法2条1項)、さらに(2)「正当ノ事由」(借家法1条ノ2)があってはじめて、借家契約を終了させることができます。
ここにいう「正当ノ事由」があるかどうかの判断はどのようになされるのでしょうか。
条文の直接の適用はないものの、借家法当時の判例を整理し、法文化したものが借地借家法28条と言われていますので、同条が参考となります。
借地借家法28条は正当事由の有無について4つの判断要素を示しています。
次に、お母さんの借家契約に期間の定めがない場合(期間の定めはあるが、解約権が留保された賃貸借<民法618条>も含む)についてはどうでしょうか。
この場合において大家が借家契約を解約するには、(1)賃貸借契約終了の6ヶ月前に解約申入れをして(借家法3条1項*民法617条1項2号の特則)、かつ(2)更新拒絶と同様に「正当ノ事由」(借家法1条ノ2)が必要となります。
今回のケースでは、少なくとも(1)期間満了前6ヶ月の更新拒絶の通知か、解約の申入れから6ヶ月が経過することが必要となるので、8月に申し入れて10月での立退きは認められません。
また、詳細が分からないので断定は出来ませんが、大家側が建物の必要な事情が新アパート建設なのに対して、お母さんは73歳と高齢で、少ない年金生活で、35年住み続け、引越しが困難であるとの事情から、申し出ている立退料を補完的に考慮しても、「正当ノ事由」が認められない可能性は十分あります。
仮に、所定の期間が経過し、立退きが認められることとなっても、立退料の増額を受けられる可能性は低くありません。
とはいえ、個人で不動産業者や大家と交渉するのは大変だと思います。そこで、専門家である弁護士に相談されるのが良いと思います。
費用の心配があると思いますので、まず日本司法支援センター「法テラス」に相談されてはいかがでしょうか
集計期間: 2008年11月23日-11月29日