トップページ > なっとく法律相談 > 有給休暇取得者が代替社員まで手配する必要はある?
なっとく法律相談 2008年9月22日 更新
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24時間3交代制の職場で勤務しています。有給休暇を取得する場合、穴埋めをしてくれる代わりの社員を自分で見つけてこいと会社側から言われました。
これは会社が行うことで、有給休暇取得者が代替社員まで手配する必要はないと思うのですが・・・
代替社員を確保しないことを理由に有給休暇の「取得自体」を認めない会社の対応は許されるのでしょうか
同じ理由で有給休暇の「取得日の変更」を求めてきた場合には応じなければならないのでしょうか。
根拠となる法律の条項や判例もあわせて教えてください。
(40代:男性)
労働基準法39条4項は「使用者は、・・・有給休暇を労働者の請求する時季(*「時季」とは季節と具体的時期の双方を含む)に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる」と規定しています。
この規定により、労働者が年休の時季を指定すれば法律上当然に労働者に年次有給休暇(以下「年休」とします。)の権利が生じ、使用者は、労働者の指定した時季に年休を与えなければなりません。その取得にあたり、労働者が代替社員を確保する必要はなく、時季の指定のみで足ります。代替社員の確保は、後に説明しますが会社の義務となります。
ですから、代替社員を労働者側が確保できないことを理由として、年休の「取得自体」を認めないとの会社の対応は許されません。
使用者は、「事業の正常な運営を妨げる場合」であることを示し、変更を求めた場合に、年休の時季、つまり年休の「取得日の変更」をできるだけです。
では、年休をとるのに使用者の「承認」を要するとの就業規則があればどうでしょうか。
この場合にも労働者が年休の時季を指定すれば、その時季に年休が成立します。
使用者は「事業の正常な運営を妨げる場合」であることを示し、変更を求めば場合に、労働者が指定した時季を変更できるだけです。
実際、最高裁も「労働者がその有する休暇日数の範囲内で、具体的な休暇の始期と終期を特定して右の時季指定をしたときは、客観的に同条三項但書所定の事由(*現在は39条4項但書の「事業の正常な運営を妨げる場合」)が存在し、かつ、これを理由として使用者が時季変更権の行使をしないかぎり、右の指定によつて年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。」と判示しています(最判昭48・3・2=国鉄郡山工場事件、最判昭和48・3・2白石営林署事件)。
今回のケースでも、あなたが年休の時季を指定すれば、その指定により法律上当然に年休の権利が生じ、代替社員をあなたが確保する必要はありません。
ですから、代替社員をあなたが見つけられないことを理由に年休の「取得自体」を会社が認めないとの対応は違法となります。
会社は、「事業の正常な運営を妨げる場合」であることを示し、時期の変更を求めた場合に、年休の時期を変更できるのみです。
では、次に、会社が年休の変更を求めてきた場合について考えてみましょう。
使用者が労働者の指定した年休の時季を変更するには、既述したように(1)客観的に「事業の正常な運営を妨げる場合」(労働基準法39条4項但書)にあたり、かつ(2)請求された年休を「承認しない」と申し出るなど時季変更権を行使することが必要となります。
まず(1)「事業の正常な運営を妨げる場合」について検討してみましょう。
この要件が認められるかどうかは、事業の規模・内容、業務の繁閑、代替者の配置の難易、労働慣行等、諸般の事情を考慮して総合的に判断されます。
そして、使用者は、できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるように状況に応じた配慮(代替勤務者の配置等)をしなければならず、このような配慮をしなければ、(1)要件が認められないこととなって、年次休暇の時季変更は認められないこととなります。
特に、勤務割による勤務体制がとられている事業所では、代替勤務者を配置できるかどうかが(1)要件の有無の重要な判断要素となります。使用者が通常の配慮をすれば、勤務割を変更して代替勤務者を配置できることが客観的に可能な状況なのに、代替勤務者を配置するなどの配慮をしない場合には、(1)「事業の正常な運営を妨げる場合」とはいえず、使用者の時季変更権は認められないこととなります(弘前電報電話局事件=最判昭62・7・10、横手統制電話中継所事件=最判昭62・9・22参照)。
今回のケースでも、会社が勤務割を変更して代替勤務者を配置できる状況であるのに、代替社員を配置せず、あなたに代替社員の確保を求めてきた場合には、会社は配慮すべき義務を尽くしていないこととなります。その結果、 (1)「事業の正常な運営を妨げる場合」とは認められず、会社はあなたの年休の時季を変更できません
会社が年休の時季の変更を申し出て(2)要件を満たしても、(1)の要件を満たさず、会社の年休の変更が認めらない可能性は十分あると思います。
集計期間: 2008年11月23日-11月29日
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