トップページ > なっとく法律相談 > 営業中に会社の車で事故を起こしたら、修理費用はどうなる?
なっとく法律相談 2009年2月16日 更新
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不動産賃貸仲介の仕事中、営業車でお客様を案内しています。その仕事中に駐車する際、車のバンパーをこすってしまいました。会社からは更に、車のサイドミラーの外側の傷や、ドアの小さな傷まで修理して、6万円全額払えと言われました。今月退職するので、最後の給料から差引かれるのですが、全額負担しなくてはいけないのでしょうか? 営業車には自損事故の際の保険はかかっておりません。会社の規則は存在しません。
(30代:男性)
損害額である6万円のうち、あなたの過失による部分の割合を検討し、会社が要求している請求額の減額を求めて交渉してみましょう。通常の営業行為に伴うリスクの範囲内での損害であるなら、「会社側が負担すべき」であると考えることもできます。
労働者が、業務上の過失などで使用者に対し損害を与えた場合は、その与えた損害について、使用者に対して賠償責任を負います(民法415条、709条)。
しかし、使用者は、労働者によって営業活動を広げて利益を増加させているので、労働者の事業の執行によって生じた損害も負担するべきです(報償責任の法理)。
そのため、使用者の労働者に対する損害賠償請求権は、全部責任ではなく一部責任に制限するべきであると考えられています。
具体的にどの程度、労働者の責任が軽減されるかは、「使用者の事業の性格、規模、施設の状況、被用者の業務の内容、労働条件、勤務態度、加害行為の態様、加害行為の予防若しくは損失の分散についての使用者の配慮の程度、その他諸般の事情」を考慮した上で判断されます(最判昭和51年7月8日)。
一般的には、社用車には損害保険がかけられている場合がほとんどであり、損害保険から補填された場合、その分は原則として賠償しなくてよいと考えられます。
しかし、ご相談の場合は、会社が自損事故の際の保険をかけていないことから、誰がどの程度損害額を賠償するべきかが問題となります。
あなたの会社で、従業員が交通事故を起こすことは日常茶飯事で、社用者の損傷などの損害を被ることが頻繁であったというような事情はないでしょうか。それにもかかわらず、会社が自損事故も保障の範囲に含まれる車両保険に加入していないのであれば、会社側が損害額を負担すべきであるとも考えられます。
また、会社の労働条件や従業員に対する安全指導、車両整備等にも原因があったこと、事故の発生について労働者に重大な過失があったとは認められないこと、といった事情が認められるのであれば、会社があなたに対して損害を請求しうる範囲は、信義則上大幅に制限されるでしょう(類似の事案で、損害額の5%にとどまるとされた裁判例もあります)。
これに対して、あなたが事故を起こしてしまった原因が、前の晩に徹夜で遊んでいたことにある等といった場合は、労働者が常識的に注意すべき事に対して責任を果たしていないわけですから、高額な損害賠償を求められてもやむを得ないかもしれません。
ただ、仮にあなたに重過失があったとしても、あなたが同意しない限り、会社が給料から賠償金を「天引き」して支給することは認められていません。会社は給料を規定どおりにきちんと支払い、その上で労働者に損害賠償を請求する必要があるのです(労働基準法24条1項「全額払いの原則」)。
あなたが事故を起こしてしまった原因や、以上のような事情から、あなたの過失割合はどの程度かを検討した上で、会社に対して損害額の減額を請求してみましょう。それでも会社側が話し合いに応じてくれないようであれば、弁護士に相談してみるべきでしょう。
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