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なっとく法律相談  2001年12月 4日 更新

給料から損害賠償の天引きは可能?

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Q.

 夫はサービス業で店長をしておりますが、そのお店の売上金が50万円紛失したそうで、責任者である夫が管理不行き届きの為、全額を給料から差し引くと言われました。最初は来月の給料を全くゼロで、次月は足りない分を差し引くと言われましたが、「小さな子供もいる家庭で、ゼロではとうていやっていけない」と言うと、「分割で取る」と言います。でも本当に払う義務はあるのでしょうか?

(20代後半:女性)

A.

 仮に店の売上金の紛失があなたの夫の管理不行き届きによるものである場合、会社からの損害賠償請求そのものを拒むことはできません。しかし、会社が一方的に損害賠償を賃金から天引きすること(損害賠償請求権と賃金債権の相殺)は認められません。

 労働基準法24条1項は、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」と定めています。このうち、おたずねのケースで問題となるのは、「全額を支払わなければならない」という部分(全額払いの原則)についてです。
 この原則は、使用者が労働者に対して有する債権を一方的に労働者の賃金債権と相殺することも禁ずるものと解されています。これを許すと賃金を確実に労働者に受領させるという本原則の趣旨に反することになるからです。
 したがって、おたずねのケースでも、使用者による一方的な相殺は許されないと考えられます。

 もっとも、労働者の同意を得て相殺をすることは、その同意が労働者の自由な意思に基づくものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する時は、同法24条1項に反しないとする判例があります。

 以上より、単なる口約束でなく、書面で相殺を認める旨の同意が示されているような場合を除き、会社が損害賠償請求権と賃金債権を相殺することは認められないことになります。

 使用者の所在地の労働基準監督署に相談すると、指導をしてくれることがありますので、一度相談されてみてはいかがでしょうか。

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