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なっとく法律相談  2009年9月21日 更新

従業員が万引き・・・企業にも責任がある?

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Q.

 清掃会社の者です。以前清掃契約をしていたあるスーパーから「夜間の清掃パートを万引きをして捕まえた。以前から行っていたと言っているので、過去から遡って相当額を弁償しろ」と言われました(約120万円相当のようです)。実際の仕事は、下請け業者のパートタイマーが行っていました。また、事情により言われた時点ではすでに相手先スーパーとの契約は解除しています。そのパートは業務を引き継いだ別の清掃会社のパートとしてそのままそのスーパーで働いていました。請求されたのはスーパーとの契約期間約2年間の間のものです。

(50代:男性)

A.

 反論の余地はありますが、あなたの会社がパートを実質的に指揮監督する立場にあったのであれば、一定程度の責任を負う必要があるでしょう。

 被用者が業務中に他人に損害を与えた場合、原則として使用者にも損害賠償責任が生じます(使用者責任民法715条)。
  これは、使用者は被用者を利用することにより会社等の売上を伸ばし利益を拡大しているのだから、その被用者から生じた損害をも負担すべきとの考え方に基づく規定です(報償責任の法理)。
  相手方のスーパーも、この使用者責任の規定に基づいて損害賠償を請求していると考えられます。このような請求に対するあなたの反論としては、以下の3点が挙げられるので、この反論をもとに相手方との妥協点を探りましょう。

1、パートとの間に使用関係がないとの反論

 使用者責任が成立するには、使用者と被用者との間に使用関係があることが必要です。ご相談の場合は、万引きをしたパートは下請け業者の被用者なので、原則として元請負人のあなたと使用関係はありません。例外的に、あなたの実質上の指揮監督下にあったといえる場合に、使用者責任が発生する可能性があるに過ぎません。
  そこで、あなたとしては、そもそも使用関係がないから使用者責任を負うべき義務はないと反論することが考えられます。

2、パートの選任・監督について相当の注意をしたとの反論

 使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、使用者は責任を負いません(民法715条2項、1項ただし書き)。
  裁判になったときは、「パートの選任・監督について相当の注意をしたが、とうてい損害の発生を避けられなかったこと」をあなたが証明できれば、責任を免れることができます。
  ただ、この免責が認められるには、あなたの会社が、下請け業者やパートに対して万引き防止のためにあらゆる措置を講じていたような場合に限られます。

3、損害額に対する反論

仮に、損害を賠償する責任があるとしても、120万円全額を賠償する責任はないと反論できます。詳細な事実関係が明らかでないので何ともいえませんが、スーパーとの契約期間である約2年間すべての損害を賠償する責任があるとはいえない場合もあるでしょう。相手方に損害額の詳細を書面で出してもらった上で争いましょう。

なお、あなたの会社が責任を負うことになったとしても、パートを雇用していた下請業者と連帯して責任を負うので、下請け業者に対して一定限度求償できます。また、万引きをした当事者である被用者に対しても、一定限度求償できます。

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