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法律豆知識  2006年11月 8日 更新

へそ曲がり解釈と思い遣り解釈?

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 病院の入口に「下駄履きを禁ず」という立て札が立てられている場合、野球のスパイク(靴の底に金属の歯がついているものです)を履いて入ってもいいのでしょうか?(「下駄」という言葉には「スパイク」を含まないことを前提とします。)

 法律の意味内容を明らかにすることを法律の解釈といいます。その手法のひとつに、法律が禁止しているのは、禁止対象として言葉で表しているもの(「下駄」)に含まれるものだけで、それ以外のものは禁止されていないと解釈する方法があります。これを反対解釈といいます。別名、へそ曲がり解釈といわれることがあるそうです。この手法では「下駄」に含まれない「スパイク」はかまわないということになります。「このはしわたるべからず」という立て札が立てられた橋の真中を大手を振って渡った一休さんが、「はし(端)」ではなく「真中」だからいいでしょ、というのと同じです。

 これに対して正反対の結果を導く手法があります。この手法は、条文上の言葉以外のものだと確認された場合に、その法の趣旨を考えます。なぜ、病院の入口に「下駄履きを禁ず」という立て札を立てたのかその理由を考えるのです。

 病院には病人がいて、大きな音を立てると体に触る場合があり、また、治療に支障をきたすこともある。だから、そのようなことがないように病院内で履いて歩くと大きな音を立てる「下駄」を禁じたのである。とすると、「下駄」ではなくても、歩くと大きな音を立てる履物は一切禁止の対象と考えるべきである。そう考えることで、立て札を立てた目的を達成させるべきだ。スパイクも靴の底に金属の歯がついているので病院内を歩くとガチャガチャと大きな音を立てる。よって、この立て札によって禁止されているのだ・・・と。

 このような手法を類推解釈類推適用といいます。別名、思い遣り解釈といわれることがあるようです。


 では、反対解釈をすべきか類推解釈をすべきか?類推解釈禁止が一般原則とされる分野もあります。しかし、通常、どちらを優先すべきか決まりはありません。また、そもそも言葉が指し示す範囲は必ずしも明確ではなく、その確定は容易なものではありません。それを決めるのは法律を解釈する人のバランスのとれた価値観です。何を大切にすべきかという判断です。法的な問題を考えるとき、技術的なことも大切なものですが、どんな結論が妥当かの判断、それはなぜかという人間の価値観こそ重要なのではないでしょうか。

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