法律豆知識 2009年5月11日 更新
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みなさんは、「薬物」というと、何を思い浮かべるでしょうか。
ひとくちに「薬物」といっても、覚せい剤や大麻、シンナーのみならず、マジックマッシュルームなどを含む脱法ドラッグといわれるものまで、実に多種多様です。
このような薬物を、わが国ではどのように規制しているのでしょうか。
わが国では、薬物の全般を規制している一般法は存在しません。それぞれの薬物の種類ごとに法律が制定され、取り締まられているのです。
具体的には、以下の「薬物四法」により主に規制されています。すなわち、
により、それぞれ規制されているのです。
また、これらの法律以外にも、「薬事法」、「関税法」「麻薬特例法(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)」などの法律にも、薬物についての規定があります。
大相撲の元幕内である若ノ鵬が、大麻取締法違反容疑(所持)で警視庁に逮捕された事件は、記憶に新しいところです。
その後に、日本相撲協会が独自に行った抜き打ちの尿検査で、ロシア出身の力士である露鵬と、その弟の白露山の2人から、大麻の陽性反応が出たというニュースも、大いに話題になりました。
しかし、大麻を所持していたり、栽培していたのであればいざ知らず、尿検査により大麻の陽性反応が出たという事実だけでは、警察は彼らを逮捕することはできません。
なぜなら、大麻取締法では、大麻の所持、栽培、譲受、譲渡、そして「研究のための使用」は禁止されているものの、一般的には「使用」が禁止されているわけではないからです(3条)。
これは、大麻の成分であるカンナビノイドは、元々体内にも存在している成分であることや、歴史的に麻の茎を繊維材料として使用しており、その際に不要な葉を焼却すると、大麻の成分を吸引してしまうという問題があるため、使用を禁止できなかったという経緯があるからです。
これに対して、覚せい剤取締法では、大麻取締法と異なり、覚せい剤の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受、そして一般的な「使用」も禁止されています(1条)。覚せい剤をみだりに使用すると、10年以下の懲役に処されます(41条の2、3)。
なお、覚せい剤を営利の目的で日本や外国に輸入、輸出、製造した者は、最高で無期の懲役に処されるので、今年の5月21日からついに始まる「裁判員制度」の対象となる事件に含まれます。
このように、薬物を取り締まる法律は、それぞれの薬物の特殊性に応じて禁止行為を定めて、規制を課しているのです。
麻薬に似た幻覚症状や性的興奮をもたらし、若者の間で乱用が問題となっている「脱法ドラッグ」の輸入や販売を禁止するため、「RUSH(ラッシュ)」などに含まれる33種類の薬物が、平成19年4月から、薬事法による規制対象となっています。
これら33種の薬物は、薬事法において「指定薬物」として扱われ、治療や研究目的以外で輸入、製造、販売した場合には5年以下の懲役か500万円以下の罰金が科せられます(83条の9)。
この規制で、現在流通しているほとんどの脱法ドラッグに規制の網がかかることが期待されています。
なお、脱法ドラッグという言い方は、正確には正しくありません。近年、厚生労働省の検討会は、いわゆる「脱法ドラッグ」の呼び方を「違法ドラッグ」に改めるとしています。
これは、実際にはほとんどの脱法ドラッグが薬事法の無許可・無承認医薬品に該当し、製造や販売が薬事法違反となるのに、「脱法」では法の網をくぐり抜けた合法なものであるかのような印象を与えることから、呼び方の変更を決めたものです。
また、法律による全国的な規制のほかに、それぞれの地方自治体による立法でもドラッグを取り締まることができ、たとえば東京都では「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を制定し、取締りを行っています。
今後、薬事法による規制をくぐり抜ける薬物が出てきたとしても、地方自治体が指定薬物として指定し、製造、販売、みだりに使用することなどを禁止して、迅速に対応することができるのです。
自治体の中には、保健師等のスタッフが薬物の問題で困っている本人や家族からの相談を受けつけ、薬物乱用防止に取り組んでいるところも多いようです。
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