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裁判員のための一口判例解説 2012年2月10日 更新
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~最高裁平成6年3月29日決定~
少年補導員は独自に少年を補導できますし、警察と一緒にいることも多いですよね。
イメージ上は警察の補助という感じですが、実際のところどうなのでしょう。
警察署長からの委託で少年補導員を務めていたXは、警察官Y・Z、他の少年補導員7名と一緒に、パチンコ店内で少年補導を行っていました。
Xは18歳の少年Aに年齢を尋ね、免許証の提示を求めましたが、Aはこれに応じません。
やがてAやその友人らと、警察官や補導員らの間でもみ合いが生じ、XとYはAを懐中電灯で殴ってしまいました。
裁判・検察・警察の職務従事者、またはこれらの職務を補助する者が、職務中に被疑者等を暴行する行為は「特別公務員暴行陵虐罪(刑法195条1項)」という罪になります。
また、これらの者が職権を濫用して人を逮捕したり監禁した場合は特別公務員職権濫用罪(同194条)にあたります。
Aは、Xをこの2つの罪で告訴しましたが、不起訴処分とされたため、付審判請求(不起訴を不服とし、裁判所に裁判を開くよう求めるもの。刑事訴訟法262条)を申し立てました。
その結果、1・2審とも、少年補導員は刑法195条1項の「警察の職務を補助する者」に該当しないとしてAの訴えを退けたため、さらにAは最高裁に特別抗告(下級審の判断に対する不服申立で、最高裁に判断を求めるもの。刑事訴訟法433条)を申し立てます。
しかしながら、最高裁もAの抗告を棄却しました。
最高裁は、刑法195条1項の規定は、司法作用の適正を保持するため、一定の身分をもつ者の職務中の暴行・陵虐行為を特別に処罰する「特別の処罰類型」であると指摘。
この趣旨からすれば、「警察の職務を補助する者」というのは、警察の職務を補助する「権限を有する者」でなければならないという基準を示しました。
少年補導員制度はそもそも警察組織が有志者、団体等と連絡・協力して少年警察活動を行う目的で始めたものであり、少年補導員の任務は、非行少年等の早期発見・補導、少年相談、少年をめぐる有害環境の浄化、非行防止のための地域社会に対する啓蒙などとされています。
少年補導員制度実施要綱でも、少年補導員に法的な職務権限は与えられていません。
こうした事情を踏まえ、最高裁は、少年補導員を「警察署長から私人としての協力を依頼され、私人として、その自発的意思に基づいて、警察官と連携しつつ少年の補導等を行うもの」と位置付けました。
あくまで私人の範囲を超えず、警察の職務を補助する職務権限は全くないと判断したのです。
したがって、Xは「警察の職務を補助する者」に該当しないため、上記の罪に問われることもないと結論付けました。
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