トップページ > 法律クイズ > 時効と知らずに返済したお金、取り戻せる?
法律クイズ 2007年6月20日 更新
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Xは31才。先日、同窓会で久しぶりに学生時代の友人Yと再会しました。Yの顔を見たら、20才のときにYから1万円を借りていたのを思い出し、「利息はまけてくれ」と言って、Yに1万円を返しました。
ところが、その後、Xはネット上の法律相談で時効制度のことを知り、10年以上経っているので、Yから借りていた1万円について消滅時効が完成していたことに気づきました。そこで、後日、XはYに電話して、「時効が完成していたから、あの1万円は返してくれ」と頼みました。Yは1万円を返さなくてはいけないでしょうか。
XはYから1万円を借りていますが、このような貸金債権は、権利を行使することができるときから10年で消滅時効が完成します(民法167条1項、166条1項)。この1万円については特に返済期限を設けていないようですから、Yが取立てできるときから既に10年が経過しているといえます。そして、Xが時効の利益を受けようとする意思表示をすると貸金債権は消滅します(時効の援用 民法145条)。
もし、Xが時効の完成を知ったうえでYに返済していた場合には、Xは時効によって受ける利益を放棄したことになります。したがって、この場合、Yは1万円を返す必要はありません。
では、Xが時効の完成を知らずに返した場合はどうでしょうか。放棄とは利益を受けないという意思表示ですから、時効の完成したことを知らなかったXは、時効の利益を放棄したとはいえません。しかし、相手方のYとしては、Xはもはや時効が完成したことを主張しないだろうと考えるでしょうから、Xの主張は認められません。このことを、最高裁は、「信義則」に照らして許されないと表現しています。
したがって、Xが時効の完成を知らなかった本問でも、Yは1万円を返す必要はありません。
集計期間: 2008年6月22日-6月28日
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