トップページ > 法律クイズ > ロストボールを持ち帰る行為は罪になる?
法律クイズ 2007年7月 9日 更新
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Aさんは、ゴルフ場でプレーをしていたところ、OB(アウト・オブ・バーンズ:ゴルフ場の柵を越えること)してしまい自分のボールを失ってしまいました。近くに人工池があり、その中に放置されたロストボールを見つけました。そのボールを拾い自分のボールとしてプレーを続行し、プレー終了後、そのボールを持って帰りました。Aさんは、何罪になるでしょうか。
ゴルフ場の池の中に放置されたロストボールは、本来であれば、ロストボールを池の中に打ち込んだ者の所有に属すると考えられそうですが、その回収困難性から、ロストボールを打ち込んだ者は、その所有を断念したといえます。
では、ロストボールは誰が所有権を取得するのでしょうか。
ロストボールを打ち込んでそれを放置した場合、その者とゴルフ場側との間で、ロストボールの黙示の贈与契約があったとする考え方があります。この場合、ロストボールの所有権はゴルフ場側にあるといえます。これとは別に、ロストボールを誰の所有にも属さない無主物ととらえる考え方があります。この場合、ロストボールを所有の意思をもって取得した者は、その物の所有権を取得します(民法239条1項)。そうすると、ロストボールを拾ったゴルファーが所有権を取得するように思えます。しかし、ゴルフ場の人工池はゴルフ場側が設置管理しているものであり、また、ゴルフ場側がいずれロストボールを回収・再利用することを予定していることから、ロストボールを最初に所有の意思を持って取得したのはゴルフ場側と考えられています。
したがって、いずれの考え方によっても、ロストボールの所有権はゴルフ場側にあります。
では、池中のロストボールをゴルフ場側が占有していたといえるでしょうか。一方、占有していたといえる場合には、取得者はゴルフ場側の占有を排除してロストボールを取得したとして窃盗罪(刑法235条)が成立することになります。他方、占有を離れたといえる場合には、占有離脱物を横領したとして遺失物等横領罪(刑法254条)が成立することになります。
この問題について、判例は、ゴルフ場側がいずれ回収・再利用することを予定していることを理由として、ロストボールの占有がゴルフ場管理者の下にあるとしています(最判昭和62年4月10日)。したがって、ロストボールは占有を離れた物とはいえないから、ロストボールを取得した者には窃盗罪が成立することになります。
集計期間: 2008年6月22日-6月28日