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法律クイズ 2007年7月12日 更新
窃盗罪が成立するのは?
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Q.
次の1~3うち、誤りはどれでしょう?
- Aさんは、出張中に携帯電話のバッテリーが切れたため、駅構内の掃除用コンセントを使って充電した。Aさんには窃盗罪が成立する。
- Bさんは、自転車購入代金が惜しいので、商店街入り口付近にある、事実上の自転車置き場として買い物客が使用している路上に置いてある自転車をあたかも自分の物のように乗って帰った。Bさんには窃盗罪が成立する。
- 雨が降ってきたところ、Cさんは、ちょうど電車内の座席に誰かが置き忘れた傘を見つけたため、それを差して帰ってしまった。Cさんには窃盗罪が成立する。
A.
正解 (3)
窃盗罪は、(1)不法領得の意思をもって(2)「他人の占有する財物」を(3)「窃取」することにより成立します。本問で問題となるのは(2)「他人の占有する財物」についてであり、ここにいう占有とは事実的に物を支配している状態を言います。以下、各肢について検討します。
- 電気は「財物」にあたるでしょうか?あたるとすれば窃盗罪が成立し、あたらなければ窃盗罪は成立しないことになります。判例は、管理できれば「財物」たりうるとする立場に立っています(大判M36.5.21)。これに照らせば、配線等による管理が行われている状態の電気は「財物」にあたることになります。また、有体物(固体・液体・気体)でなければ「財物」とはいえないとする見解が刑法学者の間では通説となっていますが、この見解によれば、電気は「財物」ではないことになります。もっとも、刑法は、電気が窃盗および強盗の客体になることを明文で規定していますので(245条)、いずれにしても、他人の電源を無断で使用したAの行為には窃盗罪(刑法235条)が成立することになります。
- 窃盗罪にいう「占有」は物に対する事実的支配を言いますが、事実的支配が及ぶとされる範囲はどこまで認められるのでしょうか?現実に誰にも管理されない場所(つまり、具体的に誰の支配も及んでいない場所)に物を放置して立ち去れば、一般的には占有を放棄したものと見られるでしょう。しかし、たとえそのような場所であっても、他人の事実的支配を推認できる状況であれば、占有があるものとして認められます。そこで、本肢のような場合にも占有侵害は認められ、Bには窃盗罪が成立することになります(福岡高判S58.2.28)。
- (2)と同様に、事実的支配の及ぶ範囲が問題となります。電車には車掌という管理者がいますので、電車内の備品等には車掌の占有が及んでいると言えます。しかし、電車内ではあっても、多くの乗客が頻繁に出入りする客車内での忘れ物について、車掌の事実的支配が及んでいるとまでは言えません。したがって、Cには遺失物等横領罪(254条)が成立するにとどまり、窃盗罪が成立することはありません(大判T10.6.8)。