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法律クイズ  2007年8月 1日 更新

生前に書いた相続放棄の書面は有効?

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Q.

 ある親Aには、子供B・Cがいます。Cは、恋人Dとの交際をAに反対されたことに激怒し、『親Aに対する一切の相続権を放棄する』旨の書面を残して家を出ていきました。その後、親Aが死亡し、Bは、Aの残した現金1000万円を相続しました。Aの死亡後間もなく、CはBの前に現れ、「Aの残した現金の半分は自分が相続した」といってBに対して500万円を請求しました。Bは、Cに対して500万円を支払わなければならないでしょうか。

  1. 支払わなければならない
  2. 支払う必要はない
A.

正解 (1)

 Cは、親Aの相続に対して2分の1の相続権を有します(民法887条1項、900条4号本文)。しかし、Cは、Aの死亡前に『親Aに対する一切の相続権を放棄する』旨の書面を作成してA・Bに手渡しています。このようなCの相続放棄は有効なのでしょうか。

 相続放棄が認められるためには、「自己のために相続の開始があったこと」を知った時から3か月以内に、「家庭裁判所に対して相続放棄の申し出」をする必要があります(民法915条1項本文、938条)。相続は死亡によって開始します(民法882条)。
 Cは、Aの死亡前、つまり、自己のために相続が開始する以前に自己の相続権を放棄しています。そうすると、「自己のために相続開始があったこと」という要件を満たしませんから、Cの相続放棄は無効となります(札幌高判昭和59年10月22日参照)。
 また、Cは、「家庭裁判所に対して相続放棄の申し出」をしておらず、単にA・Bに対して『親Aに対する一切の相続権を放棄する』旨の書面を手渡しただけです。したがって、この要件も満たさないため、Cの相続放棄は無効となります。
 Cの相続放棄が無効である以上、Cは親Aに対する相続権を失いません。親Aの残した現金1000万円のうち500万円はCが相続することになります。それを何ら権限もなく取得したBは、Cに対して不当利得として返還する義務を負います。

 したがって、Bは、Cに対して500万円を支払わなければなりません。

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