法律クイズ 2008年4月18日 更新
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Aは殺人罪を犯したと自首してきましたが、現場には指紋や血痕などの犯罪の痕跡は一切残されず、死体は発見されず、目撃者もいません。Aの自白のみが殺人があった事の唯一の手がかりです。Aの自白の信用性が高ければ、裁判になった場合、Aは有罪になりますか。
自白も刑事裁判の立派な証拠の一つですが、任意性も信用性もある自白があり、それにより十分に犯罪が証明されているような場合でも、その自白を補強する、自白以外の証拠が無ければ有罪とすることはできません(憲法第38条3項、刑事訴訟法第319条2項)。これを「補強法則」と言います。
ただ、この自白以外の証拠(補強証拠)が必要とされる範囲は、自白にかかる事実の真実性を保障できるものであれば良いとされており、おそらくは被告人を含めた社会の一番の関心事であろう「被告人が真犯人なのか」という「事件と犯人との結びつき」には必要とされません。殺人罪であれば、例えば死体が発見されたなど確かに誰かによる犯罪があった点に関して補強証拠があれば足りるのです。
結局、この補強法則とは、捜査機関がまったくありもしない架空の犯罪をでっちあげ、被告人を有罪とするということを防止するための法則に過ぎず、冤罪を防止するための法則では無いということです。
本問では、Aの自白のみが殺人があった事の唯一の手がかりなので、補強証拠が何も無い以上、裁判所はAを有罪とすることはできません。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日