トップページ > 法律クイズ > 引抜き行為は法的に許される?
法律クイズ 2008年8月 4日 更新
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英会話教室を経営するA社の営業部長であったBは、英語教材販売会社であるC社に転職したうえで、A社時代の部下の内でも特に有能だった数人をC社に引き抜きました。A社はBに対し、引抜き行為に関して損害賠償を請求できるでしょうか。
会社の従業員は使用者に対して、雇用契約(民法第623条)に付随する信義則上(同法第1条2項)の義務として、労働契約上の債務を忠実に履行し、使用者の正当な利益を不当に侵害してはならない義務(これを「雇用契約上の誠実義務」といいます)を負い、従業員がこの義務に違反した結果使用者に損害を与えた場合は、この損害を賠償するべき責任を負うとされています(東地判平成3年2月25日。ラクソン事件)。
他方、従業員には憲法22条の「職業選択の自由」から導き出される「転職の自由」が認められますので、自由である従業員の転職を勧誘したり転職に関する情報提供をしたりすることは、職業安定法上の職業紹介事業の規制にあたらない限り原則として自由です。
よって、いわゆる引抜き行為も、通常の勧誘行為に留まる限りは適法とされます。
ただし、引き抜く場合には退職時期を考慮し、あるいは事前の予告を行う等、会社の正当な利益を侵害しないよう配慮すべきであり、会社に秘密に移籍の計画をたてて一斉に大量に従業員を引き抜くなど、引抜き行為が単なる転職の勧誘の域を超え、社会的相当性を逸脱し極めて背信的方法で行われた場合には、それを実行したBには元の会社Aに対する不法行為責任(同法第709条)が生じ、損害賠償義務が発生します。
そこで、BのA社における地位、A社内部における待遇及び人数、従業員の転職がA社に及ぼす影響、転職の勧誘に用いた方法(退職時期の予告の有無、秘密性、計画性等)などの具体的事情によっては、A社はBに対し、引抜き行為に関して損害賠償を請求できることになります。
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集計期間: 2009年6月21日-6月27日