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法律クイズ  2003年2月17日 更新

少しずつ返済していた飲み屋のツケ

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Q.

 A男(49歳)が美人ママの店、スナック「あずみ」に通い出して10年がたつ。払いはいつもツケ。毎月の給料に余裕はなく、ここ2,3年はボーナス払いが続いていた。

 Aさんの勤務先も不況のあおりを受け、年末のボーナスは全額カット。振込みはないが、毎月顔を出してくれているし、次のボーナスでは必ず、と何度もいうAさんをママの幸子は信用していた。もちろん、毎月の請求書は出していた。

 夏も冬もボーナスはほとんど出なかった。A男は、無い袖を振って、わずかながらも振込みを行い、誠意を示していた。しかし、このご時世、小さい店を営む幸子には70万の売掛金は大きい。A男のわずかの振込みも、幸子には不安を募らせるだけのものだった。

 幸子は男友達に頼んで、A男に請求の電話をさせた。突然の、知らぬ男からの電話にA男は動揺した。誠意は示しているじゃないか・・・。A男は幸子に電話した。「1年前の飲み代60万は時効だから支払わん!あとは、今から振り込むからうるさくいうな」と逆ギレ。


 たしかに、飲み屋のツケは1年で時効にかかる。本ケースについて正しい記述はどれか。

  1. 法的手続きをとらずに放置した幸子も悪い。60万はあきらめるしかない。
  2. A男は、ボーナスで支払うと何度もいっていた。幸子はA男の債権者だ。勤務先の会社に連絡し、今後の給料やボーナスを、幸子に直接払ってもらうようにすべき。
  3. 普通郵便で出した請求書は無効。時効の進行をとめることはできない。改めて、内容証明郵便で請求すべきである。そうすれば、時効の主張をやめさせることができる。
  4. A男は、わずかだが振込みを行い、債務を認めている。1年前の飲み代が時効という主張はもはや認められない
  5. 払うといったものを払わないと言い出したA男の行為は詐欺に該る。警察に相談して、警察から注意してもらうとよい。
A.

正解 (4)A男は、わずかだが振込みを行い、債務を認めている。1年前の飲み代が時効という主張はもはや認められない

 A男の振込みは、民法147条が定める時効中断事由のひとつである、「承認」にあたります。

 

解説

 飲食代金は1年で消滅時効が完成します。消滅時効は権利があるのに行使しない者を法律は保護しないという趣旨で規定されています。

 したがって、債務者が「支払うよ」といって債務の存在を「承認」(民法147条3項)しているような場合は、あえて時効を認める必要はありません。本ケースでも、A男は、わずかながら、債務の一部を支払っており、承認していると考えられます。

 

 債務の承認があれば、時効は中断するため、債務者は時効の主張を行い、債務の履行を拒否することができなくなります。

 また、民法147条には、「請求」による時効中断も定めています。この「請求は」裁判上の請求(訴訟提起、差押え、仮処分、支払督促など)をさします。もっとも、裁判外の請求(請求書、電話)でも、時効は一時的に中断します。しかし裁判外の請求のときは請求後6ヶ月以内に訴訟などの裁判上の請求をしないと、時効は中断しなかったことになります。

(1)は、「あきらめるしかない」という点が不適切

(2)裁判所を通じずに、会社が、第三者に給与や賞与を支払うことは労働基準法違反の問題が生じます。

(3)時効中断のための裁判上の請求(催告)は、普通郵便でも可能です。ただし、立証が困難です。なお、時効の中断は、時効完成後は無関係である。

(5)詐欺罪が成立するためには、だます→財産の処分という流れが必要になります。本ケースにおける財産の処分は、A男に飲食させるです。A男は、幸子をだまして、飲食したわけではありません。A男が、支払うつもりが無いのに、飲食した場合に詐欺罪が成立します。

参考条文

第147条

時効ハ左(下)ノ事由ニ因リテ中断ス

  1. 請求
  2. 差押、仮差押又ハ仮処分
  3. 承認
第153条

催告ハ6个月内ニ裁判上ノ請求、和解ノ為メニスル呼出若クハ任意出頭、破産手続参加、差押、仮差押又ハ仮処分ヲ為スニ非サレハ時効中断ノ効力ヲ生セス

第174条

左(下)ニ掲ケタル債権ハ1年間之ヲ行ハサルニ因リテ消滅ス

  1. 月又ハ之ヨリ短キ時期ヲ以テ定メタル雇人ノ給料
  2. 労力者及ヒ芸人ノ賃金並ニ其供給シタル物ノ代価
  3. 運送賃
  4. 旅店、料理店、貸席及ヒ娯遊場ノ宿泊料、飲食料、席料、木戸銭、消費物代価並ニ立替金
  5. 動産ノ損

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