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法律クイズ  2003年4月22日 更新

危害を加えようとして投げたボールが・・

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Q.

 野球部に所属するAは、部活の帰り道、日ごろからよく思っていない部員のBに危害を加えようとして、ボールを10メートル先から、Bに向けて投げた。

 手元が狂い、Bをかすめ、近くの骨董品店の窓に命中し、窓と中にあった高価な壷を破損した。


 Aは、何罪に問われるか。

  1. 傷害罪の未遂
  2. 暴行罪 + 器物損壊罪
  3. 暴行罪
  4. 器物損壊罪
  5. 威力業務妨害
A.

正解(3) 暴行罪

暴行罪に該当します。

解説

 Aが、Bに危害を加えようとして、Bにボールを投げていますが、Bに当って負傷すれば、傷害罪刑法第204条)が成立します。

 ところが、Bをかすめただけです。

 解答肢 1. のように、「傷害罪の未遂」と、言いたいところですが、刑法には傷害罪には未遂が規定されていません。

 しかし、このような場合に全く罪にならないのは不当です。この場合、暴行罪で処罰することになります。暴行罪は、直接人に触れなくても成立します。


 では、骨董品店の窓と壷を破損した事実についてはどうでしょうか。

 器物損壊罪刑法第261条)が成立するようにも思えます。

 しかし、Aは、窓、壷を故意に破損したわけではあありません。故意があったのは、あくまでも、Bへの危害についてです。窓、壷を破損したことについては、過失しかありません。刑法上、器物損壊罪は、故意がある場合にのみ適用され、過失による場合は適用されません。

 また、威力業務妨害罪刑法第234条)も、業務を妨害することについて故意があれば成立しますが、Aには、認められません。

 もちろん、「骨董品屋にあたっても仕方がない」と思っていた場合は、器物損壊罪や威力業務妨害罪が成立する可能性があります。本問では、そのような事情はないため、考慮する必要はないでしょう。

 なお、窓や骨董品の破損については、民事上の損害賠償責任が発生することは言うまでもありません。

参考条文

刑法 第204条
人の身体を傷害した者は、十年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
刑法 第261条
前三条(*建造物侵入など)に規定するもののほか、他人の物を打壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
刑法 第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

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