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放置自転車の問題

 ある日、自宅マンションの敷地内に見慣れない自転車が放置されていたとしましょう。誰かが駐輪場替わりに置いているのか、盗難自転車なのか、捨てたのか・・・
 どういうつもりで放置されているのか判断がつかない以上、どう処分するかも決め難いのが現実です。

 果たして、このような放置自転車はどのように扱うべきなのでしょうか?

 この放置自転車が捨てられたゴミであれば、持ち主のいない「無主物(民法239条)」ですから、拾った人がその所有権を新たに獲得することになります。勝手に乗ろうが撤去処分しようが新所有者の自由です。

 しかし、これが盗難自転車や落し物・忘れ物の場合、この自転車は、法律上、はからずも所有者の占有(元の持ち主による支配)を離れてしまった「占有離脱物(民法193条)」ということになります。
 占有を離れてはいるものの、対象物を失くしてから2年の間は元の持ち主が所有者なので、拾った人には所有権が移らず、拾い主が勝手に使ったりすると占有離脱物横領罪(刑法254条)になるおそれがあります。

 そのため、盗難自転車の可能性があれば、いったん警察に放置自転車を届け出て、落とし物の公告をしてもらうのが有効です。
 公告後、原則3か月経過しても持ち主が現れなければ、拾った人がその所有権を取得しますので、そこからは所有者として適切に処理を進めることができます(遺失物法7条)

 しかし、この放置自転車を「所有者が置いている」状態ならば、勝手な処分は避けた方がよさそうです。
 所有権は原則的に、いつ、誰に対しても権利を主張できるという強い力を持っていますので、処分してしまったあとで所有者から損害賠償を請求される危険があります。

 とはいえ、自転車を放置すること自体も、他人の土地や建物に対する所有権を侵害する行為に他なりませんので、放置した所有者の主張ばかりを尊重する必要はありません。

 両者の所有権がせめぎ合う状態ですので、土地・建物所有者側が無理やり自転車を処分することはできませんが、土地や建物の所有者(またはこの管理を委託された管理会社)もまた、自らの所有権を武器に、妨害物である放置自転車の排除を自転車所有者に請求することができます(物権的請求権、民法202条。どちらが排除費用を負担するかは一律ではなく、事例によります)。

 自分がマンション側の人間ならば、放置自転車は保管した上で、自転車所有者に保管費用の負担と持ち帰りを請求するのがベターといえるでしょう。

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