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[裁判員制度] 証拠調べ(1) -冒頭陳述-

 冒頭手続が終わると、証拠調べが始まります。証拠調べは、検察官の「冒頭陳述」から始まります。

 冒頭陳述は、検察官が考えている事件の全体像を示すものです。ただ、刑事事件においては、すべての事実は証拠によって証明されなければなりませんから、検察官は単に全体像を示すだけでなく、それを裏付ける事実をどのような証拠に基づいて証明するかについても、冒頭陳述で示すことになります。裁判所や弁護人は、冒頭陳述を通じて、検察官の方針を把握することになります。
 検察官の冒頭陳述に引き続いて、被告人・弁護人も冒頭陳述を行います。

 検察官の冒頭陳述では、被告人の生い立ちや家族関係、犯行に至る経緯、犯行の状況、犯行後の情況などが述べられます。そして、「以上の事実を証明するため、証拠等関係カード記載の通り、各証拠の取調べを請求いたします。」との言葉で結ばれます。
 弁護人も弁護側の主張に基づいて冒頭陳述を行います。殺人罪で起訴されている事件であれば、殺意がなかったことを主張したり、アリバイがあることを主張し、そのことを証明するための証拠の取調べを請求します。

 両者の冒頭陳述が終わった後、双方が証拠申請した証拠について、相手方が意見を述べます。
 「同意」というのは書面について証拠として取り調べることに対し、同意を与えるから取り調べてもらってもいいですよという意見です。「不同意」は書面について取り調べるなという意見です。「異議なし」は書面や証人以外の証拠(証拠物ともいいます)について、取り調べてもいいよという意見、「しかるべく」は証人について取り調べてもいいよという意見、「異議あり」は書面以外の証拠について取り調べるなという意見です。

 「同意」「異議なし」「しかるべく」とされた証拠については、裁判所が必要と認めれば、取調べの決定がなされます。被告人が犯行を認めているような事件では、検察官の証拠申請に弁護人がすべて同意し、弁護側の証人の証人尋問のみが行われることも少なくありません。

 次回は、証拠申請に対する意見の意味について、もう少し詳しく説明します。

Q&Aコーナー

Q 冒頭「陳述」というくらいなので、冒頭陳述は口頭で行われるのでしょうか?
A その通りです。日本の刑事裁判には「口頭主義」という原則があり、裁判の基礎となる資料は、口頭で提出することが原則となっています。そのため、冒頭陳述についても口頭で行われます。  ただ、口頭といっても、まったく何も見ずに話すということはまれで(弁護士の中にはそのような人もいると聞きますが)、通常は事前に作成した書面を朗読し、朗読後、裁判所にその書面が提出されます。最近では、プロジェクターを使った視覚的にわかりやすい冒頭陳述も検察側を中心に増えてきており、裁判員裁判でも使われることが多いのではないかと思われます。

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