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[裁判員制度] 前科・前歴・累犯

 今回は、日常会話でもよく聞く「前科」のお話です。

 前科とは、「過去に確定した有罪の判決を受けたことがあること」をいいます。法令上の用語としては、「犯歴」といいます。
  有罪の判決ですので、死刑、懲役、禁固、罰金、拘留、科料のいずれであっても、前科となります。また、執行猶予が付いた場合であっても、有罪であることには変わりありませんので(あくまで「刑」の執行が猶予されているに過ぎないため)、やはり前科となります。
  この前科の記録は、本籍地の市町村役場に保管される犯罪人名簿に一定期間記載されるほか、検察庁の犯歴記録に保存されます。

 これに対して、前歴とは、「捜査機関から被疑者として捜査を受けたことがあること」をいいます。微罪処分や不起訴処分となった場合がこれにあたります。前歴の記録は、警察に保管されています。

 前科や前歴は、刑事裁判において、被告人にとって不利な情状として、用いられることがあります。つまり、過去に警察の捜査を受けたり、有罪判決を受けているにもかかわらず、再び罪を犯したとして起訴されているわけですから、法を守る意識が乏しく、非難の度合いが高い、というわけです。
  しかし、ここで注意しなければならないのは、起訴されている事件と同様の前科・前歴があるからといって、有罪の可能性が高い、と考えてはいけない、ということです。そのような推認は、前科・前歴のある人に対する不当な偏見であって、証拠のみに基づいて判断するという証拠裁判主義(第16回参照)に反するからです。
  もっとも、手口が特殊で、前科の手口と今回起訴された事件の手口に共通性が認められるような場合には、証拠として認められる場合があります。

 前科の中でも、一定の条件を満たすものについては、累犯(再犯)として、重く処罰されます。すなわち、第一の犯罪について懲役刑の執行を終わりもしくはその執行の免除を得た後、5年以内に更に第2の犯罪を犯し、有期懲役に処すべき場合には、刑が加重され、その罪について定めた懲役の長期の2倍を上限として刑が科されます。
  例えば、懲役刑に服していた者が、執行終了後5年以内に傷害罪で有罪判決を受けた場合、傷害罪は15年以下の懲役ですから、その2倍の30年以下の懲役を上限として刑が科されることになります。

Q&Aコーナー

Q 前科や前歴が外に漏れることはあるのですか?
A 検察庁や警察に保管されている前科や前歴を知ることは、本人でさえ不可能です。したがって、前科や前歴が外に漏れることはない、というのが答になります。
 とはいえ、逮捕されたりすれば、周囲の人に知られる可能性はあるでしょうし、それをきっかけに興味を持った人が裁判の傍聴をすれば、過去の前科などについても知ることができるかもしれません(上記のように検察側が証拠として提出するため)。しかし、そこまでのことをするのは、よほどの事情があるときに限られるでしょうから、心配する必要はないと思われます。

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