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[裁判員制度] 量刑について考える(3)

今回は、殺人の量刑についてみていきたいと思います。平成17年度から平成19年度の殺人罪で有罪判決となった事件の刑の分布は以下のようになっています(司法統計刑事事件編から集計)。

死刑23件
無期85件
30年以下4件
25年以下29件
20年以下155件
15年以下406件
10年以下314件
7年以下276件
5年以下353件
3年(実刑)65件
3年(執行猶予)321件
2年以上(実刑)38件
2年以上(執行猶予)38件
1年以上(実刑)2件
1年以上(執行猶予)8件
6月以上(実刑)2件
6月以上(執行猶予)1件

殺人罪の法定刑は、死刑または無期もしくは5年以上の懲役です。このため、現在の刑期の下限は減軽があっても1年3月なのですが、平成17年までは法定刑の下限が3年以上の懲役となっていたために、減軽をすると9月となり、上記の分布のように「6月以上」という区分が出てきています。

さて、上記の分布をみると、執行猶予が付いた判決が多いことに気づくと思います。割合にして、17.4%が執行猶予付きの判決です。前回取り上げた強盗致死傷罪の執行猶予率が5.2%であることと比べても、突出した数字であるといえます。

では、具体的な事件ではどのような判断がなされているのでしょうか。平成17年4月から平成20年3月までの地裁判決82件を例に見てみましょう。

まず、執行猶予が付いた3件については、いずれも被害者が親族で、育児ノイローゼや介護疲れが認められた事例です。懲役3年の実刑となった事例(2件)も被害者が出産直後の子を母親が殺害した事例です。

次に、求刑と判決の関係についてみてみましょう。求刑に対して何割くらいの判決が出ているかをみると、平均で77%となっています。70~80%が全体の43%、80~90%が全体の36%となっており、大半がこの範囲に含まれてきます。多い事例としては、懲役20年→懲役16年、懲役20年→懲役15年、懲役15年→懲役11年が3例ずつとなっています。
死刑の求刑に対して無期懲役の判決が出たのは5件。大半は被害者が複数で、被告人が事件の首謀者でないケースです。例外的なのは、広島小学生女児殺害事件として知られる事件で、被害者が1名であるにもかかわらず、死刑が求刑されています。下校途中の小学生が性的暴行を受け殺害された事件で、世論を配慮してのものと思われます。

最後に、有期懲役が選択された事例における、平均刑期は12.7年でした。これをどう見るかは読者の皆さんの判断に委ねたいと思います。

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