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[裁判員制度] 読者の質問にお答えして(1)

今回からは、読者の皆さんからいただいた質問に回答していきたいと思います。

Q 裁判員が事実の認定量刑において態度を留保することは、制度で認められているのでしょうか?
A 裁判員法66条2項は、裁判員は、評議に出席し、意見を述べなければならないと規定しています。ですから、評議の途中で一時的に態度を留保することは可能としても、評決の時点では有罪か無罪か、有罪であればどのような刑を科すか、という点について意見を述べる必要があります。

 評議には「乗り降り自由」とよばれるルールがあります。相手の意見がいいと思ったら、そちらにすぐに乗り換えてもよく、また、それがそれまでの意見と違っていても、批判してはならないというルールです。したがって、最初から確固とした意見を持つ必要はなく、議論の中でより良いと思う意見が出てくれば、それに乗ればよいのです。現在の裁判官による裁判でも、このルールが活かされ、意見が対立したまま多数決になることはあまりなく、基本的には全員一致となるそうです。
Q 裁判員に選ばれると、法律を覚えなければいけないですか?
A 「法律」が「法律の条文」という意味であるならば、全く必要はありません。裁判官・検察官・弁護士といった法律の専門家でさえも、法律の条文を暗記しているというわけではなく、必要に応じて六法で条文をひいています(英語の文章を読むのに、辞書を引くのと同じです)。
 法律の知識という意味であっても、事前に予習していく必要はありません。必要な知識については、その都度裁判官が説明をします。法廷で使われる難しい言葉についても、言い換えを進めています。
 裁判員制度は、市民の視点を裁判に活かすことを目的としているわけですから、法律について知らないのが当たり前です。心配せずに参加してもらえればと思います。
Q 守秘義務は家族にまで適用されるの?
A 裁判員は、評議の秘密や職務上知りえた秘密について、他の人に漏らしてはならないとされています。また、その事件の裁判員または裁判官以外の人に、事件において認定すべきと考える事実もしくは量定すべきであると考える刑を述べたり、裁判所による事実の認定または刑の量定の当否を述べることも許されないとされています。これがいわゆる「裁判員の守秘義務」です。

 この守秘義務は、家族に対しても適用がありますので、評議の秘密等については漏らしてはならないことになります。もっとも、公開の法廷で公表されたこと(たとえば起訴状の内容や弁護士の弁論内容など)については、そもそも守秘義務の範囲外ですので、それらについて家族に話すことは差し支えありません。

 また、裁判員の職務が終わるまでは、裁判員であることを公にしてはいけないことになっていますが、「公にする」とは、不特定多数の人が知ることができる状態をいうので、家族や職場の人に裁判員であることを告げること自体は問題ありません。匿名のブログで公表することについては、判断が分かれそうです(匿名であっても個人が特定される可能性があるため)。

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