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[裁判員制度] 結びにかえて

 32回にわたってお送りしてきました「もしあなたが裁判員に選ばれたら?」ですが、今回をもっていったんの区切りとしたいと思います。最後のテーマは「結局、裁判員制度って何?」です。

 連載を通じて読者の皆さんからいただいた質問の中でも、「何で裁判員制度なんてものが始まるの?」「なぜ、裁判員制度が必要なんですか?」といった質問が多く寄せられました。最高裁・法務省・日弁連などが予算をかけて広報しているにもかかわらず、裁判員制度導入の理由については、市民に伝わっていないようです。

 最高裁判所が運営している裁判員制度のホームページでは、裁判員制度の導入の理由について、以下のように説明しています(裁判員制度ホームページ「どうして裁判員制度を導入したのですか」をもとにしています)。

  • 法律の専門家である裁判官・検察官・弁護士のみで行われている現在の刑事裁判は、専門的な正確さを重視する余り、審理や判決が国民にとって理解しにくいものになってしまったり、審理に長期間を要する事件があったことで、刑事裁判が国民にとって身近なものではなくなってしまった

との反省のもと、

  • 海外では刑事裁判に国民が参加する制度が設けられており、国民の司法への理解を深めるうえで大きな役割を果たしている
  • 職業裁判官と国民が、それぞれの知識経験を生かしつつ一緒に判断することで、より国民の理解しやすい裁判を実現することができる

ということで、裁判員制度を導入することにしたと説明されています。つまり、「わかりやすく、スピーディーな刑事裁判を実現するために、国民に刑事裁判に参加してもらう」ということです。

 「わかりにくい」「時間がかかる」という司法に対する批判に対して、審理期間を短縮して実施される裁判員制度はひとつの回答といえるでしょう。裁判員制度導入を控えて、検察官はプレゼンテーションの工夫に余念がないといわれています。

 しかし、スピード重視の審理が拙速な判断を呼び、わかりやすさを重視することで、プレゼンテーションの巧拙で刑罰の重さが変わってしまうのではないかという懸念があるのも事実です。旗振り役であるはずの新潟県や栃木県の弁護士会も、実施の延期を求める決議を採択しています。

 裁判員制度への理解は、実際に裁判員をやる人が増えていくにつれて深まっていくでしょうし、裁判員にとって負担にならないような運用がなされるようになっていくと思います。ただ、どんなに身近な制度になったとしても、裁判員は被害者と加害者の人生に影響を与えるものであるということは、肝に銘じる必要があるのではないかと思います。

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