サイト内検索:

閉店は立地のせい!?フランチャイズ本部の義務

~京都地裁平成3年10月1日判決~

 フランチャイズ傘下に入る利点と言えば、なんといってもフランチャイズチェーン本部が培ってきたブランドやノウハウ、マーケティング力をそのまま利用できることです。
 出店の際に本部が立地等を一緒に検討してくれるというのは、加盟店側にとって大変心強い話といえます。
 加盟店側がその業種に関して素人である場合は、なおさらでしょう。

 しかし、本部を信じて出した店が経営不振に陥ったら...
 加盟店側は本部の選んだ場所に問題があったとして、その責任を問うことができるのでしょうか?

 今回対立しているのは、フランチャイズオーナーとして加盟したX(原告)と、そのフランチャイズチェーンの本部であるパン製造販売会社Y(被告)です。

 Xは、Yとフランチャイズ加盟契約後、パン屋兼コーヒーショップを開店しましたが、3か月足らずで経営に行き詰まり、Yの説得を振り切って一方的に閉店しました。

 当店舗の位置は、私鉄の特急停車駅から線路沿いに50m超の場所。
 駅前に競合店はあるものの、駅のホームから店舗の広告灯を見ることができ、路線バスの経路上にあるということでY社員がXに勧めました。
 その際、Y社員は

  1. 商圏内人口・世帯数からの売上予測
  2. 店前通行量からの売上予測

の2種類の需要予測調査を行ったうえで、(2)の試算が日に10万円を超えたことなどから「ものすごく人が多い、良い結果が出た」とXに話し、この予測通りの売上は保証できないけれど、データの売上高は控え目に試算しており正確だと説明していました。

 そこでXは「経営破たんの原因は、店舗の立地条件が備わっていなかったにもかかわらず、Yが誤った需要予測調査に基づいて開店を勧めた点にある」として、契約締結上Yに過失があったと主張し、Yに店舗内装工事費用等2370万円余の損害賠償を請求しました。
 一方のYは、失敗はXの営業努力不足が原因で、自分たちは信義則(正式名称は「信義誠実の原則」。相手方の一般的な期待・信頼を裏切らぬよう、誠意をもって行動すべきであるという原則のこと。民法1条2項)上要求される注意義務を尽くしたと反論します。

 京都地裁はXの請求の一部を認め、Yの損害賠償責任を肯定しました。

 地裁はまず、フランチャイズシステムでは、店舗経営の知識や経験に乏しく、資金力もない個人が本部の指導・援助を期待して契約することが予定されているため、本部は加盟店募集の際、契約締結の客観的な判断材料になるような、正確な情報を提供する信義則上の義務を負っていると示しました。
 そのため、市場調査の内容が客観性を欠き、契約判断を誤らせるおそれが大きい時は、信義則違反としてYの落ち度になるとしたのです。
 この点、本件でYの行った需要予測の客観性・正確性には疑問があるうえ、Yは契約の勧誘時に問題のある市場調査の信頼性を過度に強調し、加入の可否についての適切な判断を困難にするおそれの強い情報を提供したと指摘しました。
 以上より、Yは適正な情報を提供すべき信義則上の保護義務を怠ったと結論付けられたのです。

ページトップへ