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「不貞行為」とは?

~最高裁昭和48年11月15日判決~

 離婚の話題でよく登場する「不貞行為」。
 配偶者がいるにもかかわらず、自由意思のもと(脅されて仕方なく、などではなく)配偶者以外の異性と性的関係を持つことをいい、夫婦の一方がこの不貞行為をはたらいた場合、もう一方はこれを理由に離婚を求めることができます(民法770条1項1号)。
 ただ、不貞行為が認められても、裁判所が一切の事情を考慮した上で「婚姻を継続できる」と考えた場合は離婚を認めないという判断も可能です(同条2項)。

 配偶者以外と性行為を結ぶといえば、不倫関係など、男女双方に合意がある状態を考えるのが普通ですが、実際はそうとは限りません。
 強姦のように、性行為の相手方に合意がないこともあるのです。

 今回紹介するのは、夫が妻以外の女性数人に対して強姦等の行為を繰り返したため、妻が夫の不貞行為を理由に離婚を求めた事案です。
 性行為の相手方に合意がないうえ、それぞれの行為の相手方が違うこのケースを、裁判所は一体どのように判断したのでしょうか?

 女性X(原告)と男性Y(被告)は夫婦で、2人の間には長女Aがいます。
 Aが1歳になったころ、Yは友人Bとともに、女性5人に輪姦または強姦未遂行為を行いました(本件当時、このうち被害女性2人に関して有罪が確定していました)。
 Xは、このYの一連の行為が「不貞行為」にあたるとして、離婚等を請求しました。
 これに対し、Yは「他の女性との1回の性行為は不貞行為とはいえない」と反論しました。

 1審はXの請求を認めたため、Yが控訴。
 このとき、Yは「不貞」の内容を「貞操義務違反」だとし、性的関係を結ぶにあたっては、Yだけでなく、性行為の相手方にも自由な意思が求められると主張しました。
 本件のYによる姦淫は被害者側に自由意思などないのだから、不貞行為とはいえないというのです。
 また、Aを出産後、XがYとの性的関係を拒んだためにYが姦淫に至ったこと、Xの離婚請求は周囲の強制による面も大きいことを理由に挙げ、X・Y・Aの家族関係を継続することは可能だとして、離婚請求を棄却するよう求めました。
 しかし、2審も姦淫を不貞行為と考え、Xの請求を容認したため、Yが上告しました。

 最高裁もまたYの上告を棄却し、Xの離婚請求を認めました。

 民法上の「不貞行為」とは、「既婚者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」であって、相手方の自由な意思までは問わないと考えたからです。
 また、各性行為の相手方が違う点も最高裁は問題にせず、Yに不貞行為を認めました。

 さらに、婚姻継続の可能性についても、諸事実を考察した結果、「継続不能と判断した原審判決は正当である」との結論が下されました。

 本件判決は、不貞行為の意義を明確にした点で有名なものです。
 現在でも、不貞行為の判断にはこの基準が用いられています。

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