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裁判所からの書類を隠された!訴訟の行方は??

東京高裁平成19年9月26日判決

 訴訟に関係する書類は、関係者に内容を確実に知らせるため、裁判所から郵送などで直接送付されるのが基本です(民事訴訟法101条)。
これを「送達」といい、訴訟手続の中ではこの送達が済んでいるかどうかを基準にして各手続の日数計算をします。

 では、送達が済んでいても肝心の当事者にその内容が知れていなかった場合はどうでしょう。
知らない間に終わっていた訴訟手続に関して、追完(あとから補ってやり直すこと)はできるのでしょうか?
 

 ある仮登記抹消登記手続等請求事件(仮登記を抹消してくれと求める裁判)に関して、裁判所から当訴訟の被告である代表者Aへ、期日呼出状等を送達することになりました。

 Aは、この送付先に自らが代表者を務めるP社を指定し、届出を済ませたため(103条104条2項)、書類はP社に送達され、従業員Bがこれを受領しました(106条1項・2項)。

 しかし、BはAに対する個人的怨恨から、これをAに渡さず隠匿・廃棄してしまったのです。

 Aは、のちに控訴を検討していたにもかかわらず、期日の呼出や判決言渡しの事実を知らないまま控訴期間まで逃してしまい、控訴の機会を失いました。
(民事訴訟の控訴期間は2週間で、当事者らがこの期間を守れなかった場合は裁判が確定するなどの効果が生じます。285条

 そこでAは、「控訴期間を守れなかったことに関して当事者に責任がない場合は、控訴の追完ができる」と規定した民事訴訟法97条1項を示し、控訴期間を守れなかったのは自分の責任ではないと主張して、控訴の追完を求めました。

 東京高裁は、まず、Aに対する送達が適法に行われていることを確認しました。

 そのうえで、控訴の追完を認めるか否かにつき、以下のように判断しました。

 Aは、従業員から訴状副本と第3回口頭弁論期日の呼出状を渡されていたため、自分が訴訟提起されていることを認識していましたし、提出した答弁書(自分の言い分)からも、Aが訴訟の継続を十分認識していた事実がうかがえます。
この様子なら、裁判所に問い合わせる等すれば容易に訴訟手続の状況を知ることができたはずなのに、Aは答弁書提出から原審口頭弁論終結まで約5か月間事態を放置しており、裁判所に問い合わせ等をした形跡もないと指摘しました。

 さらに、P社の従業員に対して、送達書類を受領し、その後Aへの連絡等を適切に行うよう指揮監督することは、Aが責任を持って行うべきことであるとの見解も示しました。

 以上の事情を併せ考えると、Aに全く責任がないとはいえないとして、Aの控訴を却下しました。

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