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誤って振込んだお金が差押さえられてしまった!止めることはできる?

最高裁平成8年4月26日判決

 振込み先を間違ったというだけでも焦りますが、それが誰かに差し押さえられてしまったら?
「それは間違って振込んだんです、差押えはしないで!返金してください!」といいたいところですが、実際にそうすることは可能なのでしょうか?

 X(原告)は、Bに弁済するための558万円あまりをA銀行甲支店に振込むつもりでしたが、誤って同銀行乙支店のCの普通預金口座へ振込んでしまいました。

 Cには債権者Y(被告)がいたため、YがこのCの口座を公正証書に基づき差押さえてしまいます。

 困ったXは、Yの差押えに対し第三者異議の訴え(強制執行を止める権利のある第三者が、強制執行の排除を求めるもの。民事執行法38条)を提起しました。

 1・2審とも、受取人(C)と振込先銀行(乙支店)との間には「振込まれたお金は預金として扱う」という事前の合意があるものの、それが効力を持つのは、受取人Cと振込依頼人Xの間に取引上の原因関係(振込金を受け取る正当な関係)があるときだけと考えました。
本件ではXとCの間にそうした原因関係がありませんので、Cの預金債権は成立していないとしたのです。

 そのため、Cが払い戻しを受ける前ならば、XはA銀行に振込金の返還を求めることができるとし、Xに第三者異議をとなえる権利があると認めました。

 これを不服としたYが上告したところ、最高裁は上告を破棄し、自ら判断を下しました。

 まず、振込依頼人Xから受取人Cの銀行の普通預金口座に振込があれば、とにかく受取人CとA銀行との間には振込金額相当の普通預金契約が成立するとしました。
したがって、受取人CはA銀行に対して振込金額相当の普通預金債権を取得します。
このとき、振込依頼人Xと受取人Cとの間に振込の原因となる法律関係があるか否かは問いません。

 もしも、振込依頼人Xと受取人Cの間に振込の原因となる法律関係がない場合は、振込依頼人Xは、受取人Cに振込んだお金と同額の「不当利得返還請求権(民法703条)」があるにすぎず、預金の譲渡を妨げる権利まではないとしました。
ですから、Xには、受取人Cの債権者Yがした預金債権に対する強制執行(差押え)を止めることはできないと結論付けたのです。

 誤振込とわかっているのに差押えを止められないなんて歯がゆいですね。
こうした事態を防ぐためにも、振込先の確認は念入りに行ってください。

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