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業者間の売買では、どの程度商品の説明をしなければならない?

東京地裁平成19年10月29日判決

 以前、電動アシスト機能だけでなく自走機能(ペダルをこがなくても走行できる機能)も付いている「モーター搭載自転車」が若者の間で流行しました。
しかし、これは法律上「原動機付自転車」にあたるため、公道を走るには運転免許やブレーキランプ等の装備が必要で、こうした装備なしに公道を走ってしまうと取締対象になるというものでした。

 今回紹介する事案は、このモーター搭載自転車の販売業者同士の争いです。
売り手側では、どんなやり取りがあったのでしょうか?

 モーター搭載自転車の製造業者AがYに当商品の販売を委託したところ、Yはさらに、その販売をカタログ通信販売業者Xに委託しました。

 Xは当商品を道路交通法上の自転車として消費者に販売しましたが、実際には当商品は原動機付自転車であり、公道を走行するには別途装備が必要であることが判明。
Xは購入者に対して返品や装備品の無償提供等の事後処理を余儀なくされました。

 そこで、XはYに対し、「Yは原動機付自転車である当商品を、自転車であると誤った説明をして販売したのだから、契約上、売主が全責任を負うものとされている『品質上の欠陥』または『商品間違い』であり、債務不履行の責任がある」などと主張して、損害賠償を求めました(債務不履行による損害賠償民法415条)。

 これに対しYは、「Xとの契約前に警察やAから説明を受け、自走機能を使わなければ道交法上自転車として取り扱われるものと理解していた。そのとおりXに説明したのだから債務不履行はない」と反論しました。
また、本件契約時、当商品は道交法上の原動機付自転車に該当すると確定していなかったことも主張しました。

 東京地裁は、本件Yの行為を「商品間違い」とし、債務不履行があったと認定しました。
そのうえで、Xが顧客からの返品・交換要求に応じるなどの過程で負担した費用を損害と認め、この損害に対する賠償義務があると判断しています。

 その理由は、「自走機能を使わなければ公道走行時も道交法上の自転車扱いになる」というYの説明が間違っていたから。

 たとえY側の人間がそのように誤解していたとしても、Xから当商品を買い求めた顧客がこれを使用する場所は公道である以上、上記説明は最も主要な使用方法に関するもので、間違いは許されないということでした。
また、Yの代表者は自走機能を有する電動自転車が原動機付自転車に該当しないか懸念を抱いていたことなどから、Yは、当商品の販売にあたり必要な説明義務を果たせていなかったとも指摘しました。

 ただ、裁判所はXに対しても義務違反を認定しています。

  • Xが多数の商品を取り扱う通信販売業者であること
  • 当商品は自走機能がある点で既存の電動アシスト機能付自転車と異なること
  • Yから当商品の自走機能を公道では使用しないよう顧客に告知すべきと言われていたこと

 から、Xも当商品が原動機付自転車に該当するかを調査する義務があり、これを怠ったことが損害拡大につながったとしたのです。
以上より、2割の過失相殺が妥当と結論付けました。

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