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土地に抵当権を設定した場合、庭石なども対象になる?

最高裁昭和44年3月28日判決

 宅地に対する庭石のように、メインの効用を継続的に助けるサブ的役割の物品を、民法では「従物」と呼びます(メインの宅地は「主物」。87条1項)。
この従物である庭石は単品でも取引できますし、入れ替えることも可能ですから、宅地と一体化しているとまではいえません。

 では、この宅地に抵当権が設定された場合、庭石は抵当権の範囲から外すべきなのでしょうか?
抵当権は、文言上「不動産に付加して一体となっている物」に及ぶとされているため(同370条)、宅地と一体といえるか微妙な従物(庭石)が、抵当権の対象になるのか問題となります。

 BはXから、将来借り入れる予定の額を含む限度額150万円の借金をしていました。
XはBとの契約を担保するため、Aの承諾を得てA所有の宅地に根抵当権を設定する契約を結び、登記も済ませました。
(※根抵当権とは、将来の借金も含めた不特定の債権を担保するためにあらかじめ設定しておく抵当権のことです。民法398条の2)

 ちなみにAが根抵当権を設定する前から、この宅地の庭園には、味わいをもたせ、常時観賞できるよう、石灯籠や植木、庭石等が設置されていました。
また、これら石灯籠と庭石の一部を取り外すことはできましたが、植木と庭石の一部を取り外すのは困難な状況にありました。

 ところがその後、Aにお金を貸していたYが現れ、Aの借金に対する強制執行として、上記の石灯籠や植木、庭石を差し押さえてしまったのです。
これに驚いたXは、宅地の従物である石灯籠や植木などにも、自分の根抵当権が及ぶと考え、「強制執行によって石灯籠や植木などが失われれば、抵当物件全体の担保価値が下がる」と主張して、Yの強制執行に対して異議を申し立てました(第三者異議の訴え、民事執行法38条)。

 裁判結果は、1・2審とも、Xの請求認容です。
どちらの裁判所も、Xの根抵当権の効力が石灯籠などの各物件にまで及ぶことを認めました。
したがって、Xは根抵当権を理由にYの妨害を排除し、これらが抵当権の効力外に出てしまうのを防止する権利があると判断したのです。

 一方Yは、「上記各物件に根抵当権の効力が及ぶためには、その旨の特約と公示が必要だ」と反論して上告しました。

 最高裁は上告を棄却。

 まず、石灯籠と取り外しできる庭石等は、根抵当権の目的物である宅地の「従物」であり、植木と取り外し困難な庭石等は、この宅地の「構成部分」であるとしました。

 そして根抵当権の効力は、「構成部分」はもちろん、根抵当権設定当時から宅地の常用に付属されていた「従物」にも及び、このことを第三者に対抗するには、根抵当権設定登記があれば十分だと示したのです。

 したがって、Aの宅地に根抵当権を設定し、登記をそなえたXに強制執行の排除権を認めた1・2審判決は正当であると結論付けました。

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