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高すぎる弁護士報酬は暴利行為になる?

東京地裁平成20年6月19日判決

 平成16年に弁護士報酬会規(弁護士報酬の基準を定めたもの)が廃止されて以来、弁護士は依頼者との間で自由に報酬を決められるようになりました。
したがって現在では、依頼者は額の高低にかかわらず、弁護士との合意に基づいて報酬を支払うのが基本です。

しかしながら、弁護士から提示された報酬額があまりにも大きい場合、依頼者はその要求をのむしかないのでしょうか?

 株式会社Xは、自社所有のA物件を東京都に売却して債務を返済することなどにつき、弁護士Yに協力を求めました。
そこでYが東京都再開発事務所に赴いて買収時期を聞いたり、金融機関に赴いて債務の返済猶予を求めたりしたところ、東京都とXとの間でA物件の売買契約が締結され、売買代金等として合計4億3227万0951円がXに支払われました。

 さらにXは、競売に出されていたB物件を取得するため、YをXの代理人として入札に参加させ、これを1億2400万円で競り落としました。

 YはXに対し、A物件に関する報酬として合計3990万円を、B物件に関する報酬として313万9500円を請求しました。
これを受け、XはA物件に関し合計3250万円を、B物件に関し266万1500円をYに支払っています。

 Yの請求した報酬は、かつての弁護士報酬会規が定めていた報酬算定基準である「経済的利益」から導かれたものでした。
このときYは「経済的利益」に、「対象物の時価相当額」すなわちA・B各物件の売却価格をあてはめて計算していたのですが、実はこの算定方法、対象不動産の所有権が誰にあるかを争うような事案で使われるものだったのです。

 Xは、Yが提示した報酬額は高額に過ぎると考え、Yに支払った3516万1500円のうち76万円を超える部分は公序良俗(民法90条)に反し無効であると主張。
Yは法律上の根拠もなく3440万1500円を不当に手に入れたとして、不当利得返還請求を行いました(同703条)。

 これを受け、裁判所は、A物件・B物件とも所有権に争いがなかったにもかかわらず、上記基準を用いて「経済的利益=各物件の取得対価全額」としたY提示の報酬額は高すぎると判断しました。
また、YがXに報酬を請求する際、金額の具体的な算出根拠を説明しなかったことも、かえってXの疑念を招いたと指摘しました。

 以上より、XからYに支払われた合計3516万1500円は、Yの暴利行為として無効になると判示されました。
その上で、当事者の意思を推定して相当報酬額を1850万円と認め、1666万1500円の限度でXに不当利得の返還を命じたのです。

credit:Do you know how much a Trillion Dollars is? / ClaraDon

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