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自治会の退会は可能?

~最高裁平成17年4月26日判決~

 マンションなど共同住宅に住む方々は、大半がその入居者からなる自治会に入られていることと思います。
 この自治会、退会することはできるのでしょうか?

 県営住宅の自治会Xは、会員(団地入居者)相互の親睦や快適な環境の維持管理、共同の利害に対処するために設立された団体です。
 Xの規約には、団地の入居者で組織することや、共益費や自治会費の額が示されていましたが、会員の退会を制限する規定は設けられていませんでした。

 Xが集めた共益費は、主に団地内の電気料金や水道料金等の維持費、エレベーターの保守など、団地内の共用施設の維持管理費用にあてられていました。
 これら業者への支払を入居者が個別に行うのは困難なので、Xが業者に一括で支払い、各入居者はXに共益費を支払うという形にしていたのです。
 そしてこのシステムは、県の委託で団地の管理業務を行っている県供給公社が指示したものです。

 Yは本件団地に入居後、Xに入会し、共益費、自治会費等を支払ってきましたが、Xの役員等の方針や考え方に不満を抱いたため、Xに退会を申し入れ、約2年間分の共益費・自治会費、総合計7万2000円を支払わずにいました。
 これに対し、Xは未払費用と遅延損害金の支払を求めて訴えを起こします。

 原審は、Yに共益費と自治会費の支払義務があると認めました。
 X設立の趣旨・目的、団体としての公共的性格等から、特段の事情がない限り、特定の思想・信条や個人的な感情から会員がXに退会を申し入れることは条理上許されず、Yの退会申し入れは無効だと考えたからです。
 これを不服としたYが上告。

 最高裁は、Yの共益費支払義務を認めつつ、Xからの退会を許しました。

 まず、共益費については、

  • 共益費が本件団地内の共用施設を維持するための費用であること
  • 県の供給公社が、入居者→X への共益費支払、X→業者への一括支払いという仕組みを指示していること
  • Xと各入居者はこの指示に従い、Yも、一定期間共益費を支払ってきたこと

という3点を重視しました。
 そして、これらの事実から、Yは入居時に、「この団地に入居している限りXに対して共益費を支払う」と約束したといえると認定しました。
 したがって、本件退会の申し入れが有効であるか否かに関わらず、YのXに対する共益費の支払い義務は消滅しないと判断したのです。

 次に、退会の可否ですが、Xは、会員相互の親睦や環境の維持管理などを目的に設立された団体であって、いわゆる強制加入団体でもなく、規約に退会を制限するような規定もありません。
 したがってXの会員は、一方的な意思表示によって、いつでもXを退会できるのであって、Yの退会申し入れも有効であると結論付けました。

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