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執行猶予

 第4回目の今回は、「執行猶予」について説明します。

 執行猶予とは、刑の執行を一定期間猶予するもので、猶予期間が満了すれば、その刑を受けることがなくなる制度です。報道などでは、執行猶予の付かない有罪判決を「実刑判決」、執行猶予の付いた有罪判決を「執行猶予判決」と呼ぶことが多いです。
  被告人にとって、実刑となって刑務所に入るのと、執行猶予になるのとでは、その後の生活に大きな違いがありますから、執行猶予が付く可能性があるときには、弁護人は執行猶予を勝ち取るために全力を尽くすといっても過言ではありません。

 執行猶予はすべての罪について付けられるわけではありません。
  まず、禁錮以上の刑を受けたことがない場合は、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金の言渡しを受けた場合で、情状に酌むべきものがあるときに付けられます。また、前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その刑の執行が終わった日またはその執行の免除を受けた日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合も同様です。
  次に、執行猶予(保護観察が付いていないもの)期間中に再度罪を犯した場合であっても、罪が1年以下の懲役または禁錮であり、かつ情状に特に酌むべきものがあるときは執行猶予が付けられます。

 執行猶予は、執行猶予期間中に再び罪を犯した場合などに取り消されることがあります。そうなったときは、執行が猶予されていた刑と、新たに犯した罪の刑の両方に服さなければなりません。つまり、懲役3年執行猶予5年の判決を受けた人が、執行猶予期間中に罪を犯し、懲役4年の実刑判決を受けた場合、執行猶予が取り消される結果、7年の懲役刑に服することになります。

 次回は、行為時の事情によって罪が成立しない場合について説明します。

Q&Aコーナー

Q 執行猶予は前科になりますか?
A 執行猶予は刑の執行を猶予しているにすぎず、有罪判決であることには違いありません。したがって、執行猶予も前科(犯歴)となります。資格制限などが解ける刑の消滅の時期については、執行猶予の期間が満了した時点となります(刑法27条)。

Q 保護観察とは何ですか?
A 保護観察とは、執行猶予中の者を対象に、改善更生を図ることを目的として保護観察所が行う指導監督及び補導援護のことです。
  具体的には、1.面接などを通じて対象者の行状を把握したり、2.保護観察時に定められた遵守事項を守れるように必要な措置をとったり、3.住居・職業訓練・就職支援などの支援を行ったりしています。遵守事項が守れていないときは、執行猶予の取消しを行うように検察官に申出をすることもあります。

 保護観察は、各地に置かれた保護観察所に配置されている保護観察官と、民間のボランティアである保護司が中心となって行います。

  保護観察官は、保護観察所などに採用された法務事務官(国家公務員)の中から、一定の経験を積んだ人がなることができます。保護司は、人格及び行動について、社会的信望を有し、時間的余裕があり、生活が安定しているなどの条件を満たす人の中から法務大臣によって委嘱されます。保護観察官は全国で約1,000人、保護司は約50,000人が活動しています。保護観察官の人数が少ないため、実質的な保護観察の業務は保護司が担っているとの指摘もあります。

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