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正当防衛

 第6回目の今回は、「正当防衛」について説明します。

 「正当防衛」という言葉については、日常会話でも使われることがあるため、比較的イメージしやすいのではないでしょうか。「相手がいきなり殴りかかってきたので、やむを得ず応戦した」ような場合を、正当防衛の例として想像される方も多いと思います。

 刑法における正当防衛が成立するためには、(1)急迫不正の侵害に対して、(2)自己または他人の権利を防衛するために、(3)やむを得ずにした行為、であることが必要です。「急迫不正の侵害」とは、「不正な差し迫った攻撃」のことですが、いくつか例を挙げてみましょう。

 まず、喧嘩の場合に正当防衛が成立するかについては、原則として成立しないとされています。確かに、喧嘩の一場面だけをみれば、一方がもっぱら防御に終始するような場面があり、その場面での反撃が正当防衛となるようにみえることがあります。しかし、全体としてみたときに、喧嘩状態が継続しているとみられる場合には、「差し迫った攻撃」があったとはいえないため、正当防衛が成立しないというわけです。

 次に、攻撃を予期していた場合にも、「差し迫った攻撃」といえるかについては、単に「攻撃されるかもしれない」という程度の予期であれば、その予期の通りに攻撃があったとしても、「差し迫った攻撃」といえるのに対し、攻撃を予期して反撃のための武器を用意していたり、攻撃の機会を利用して相手を攻撃しようとした場合には、「差し迫った攻撃」とはいえないと判断されています。

 また、不正な攻撃に対する反撃だからといって、何をしてもよいというわけではありません。自己または他人の権利を防衛するために必要最小限度のものであることが必要です。この程度を超えてしまった時には、「過剰防衛」となり、無罪とはなりません(情状により刑が減軽され、または免除されます)。

 過去の例では、(1)素手による攻撃に対してナイフで反撃した場合、(2)空手の有段者が一般人に対して回し蹴りをした場合、(3)攻撃が止んだにもかかわらず、さらに攻撃した場合、などに過剰防衛の成立を認めています。

 次回は、「緊急避難」について説明します。

○Q&Aコーナー

Q 刑の免除は無罪とは違うのですか?
A 刑の免除は、罪となるべき事実があることを裁判所が認定したうえで、「被告人に対し刑を免除する」との判決をするもので、罪となるべき事実が存在しない無罪の判決とは異なります。刑に処されたわけではないので、再度罪を犯した場合であっても累犯としては扱われませんが、有罪判決の一種ですので、犯歴となり、資格制限を受ける可能性があります。この資格制限は、刑の免除判決を受けてから2年間、罰金以上の刑に処せられなければ解除されます。
 似た概念として「刑の執行の免除」がありますが、こちらは有罪判決で確定した刑について、その執行のみを免除するものです。こちらは刑に処されたことになるので、再度罪を犯した場合は累犯として扱われます。

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