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危険運転致死傷罪

 21回目の今回は、危険運転致死傷罪について説明したいと思います。

 危険運転致死傷罪は、平成13年(2001年)の刑法改正で新しくできた罪です。
  従来、交通事故で被害者が死傷した場合には、業務上過失致死傷罪が成立するにとどまり、飲酒運転スピード違反信号無視など悪質な交通違反を犯したうえで、交通事故を起こしたような場合に、刑が軽すぎるという批判がなされていました。危険運転致死傷罪は、この批判に応えるためにできた罪で、罰則も業務上過失致死傷罪の法定刑(5年以下の懲役または禁錮もしくは50万円以下の罰金)に比べ、格段に重くなっています(被害者が死亡した場合は1年以上の有期懲役、傷害の場合は15年以下の懲役)。
  その後、通常の交通事故による致死傷についても、自動車運転過失致死傷罪が平成19年(2007年)に新設され、悪質でない交通事故についても、罰則が強化されています(7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金)。
  裁判員制度の対象となるのは、被害者が死亡した場合(危険運転致死罪)のみとなっています。

 何が「危険運転」にあたるかについては、条文に規定があり、

  1. アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を運転すること
  2. 進行を制御することが困難な高速度で自動車を運転すること
  3. 進行を制御する技能を有しないで自動車を運転すること
  4. 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転すること
  5. 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転すること

が「危険運転」とされています。

 福岡の3児死亡事故で1審判決が危険運転致死罪の成立を否定し、控訴審判決では成立を認めたことをみてもわかるように、成立のための条件が厳しく、危険運転致死罪での起訴件数も年間47件にとどまっています(2007年版検察統計)。

 次回は、強盗罪について説明したいと思います。

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