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強盗罪(1)

 22回目の今回は、強盗罪について説明したいと思います。

 強盗罪のカテゴリーに入る罪のうち、裁判員制度の対象となるものは、強盗致死傷罪強盗強姦罪強盗強姦致死罪の3つです。特に、強盗致死傷罪は、裁判員制度の対象事件のうち、件数が最も多くなるとみられており、裁判員となった人が扱う可能性が最も高い事件ともいえます。

 裁判員制度の対象となる罪について説明する前に、「強盗」とはどのような行為であるかを説明します。強盗とは、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取し、または財産上不法の利益を得ることをいいます。暴行・脅迫は、相手が抵抗できない程度(抗拒不能)の強度なものである必要があります。よく似た犯罪に恐喝罪がありますが、こちらの脅迫の程度は、財物を交付・処分する程度の意思の自由が残った状態であるとされ、その点で区別されます。

 また、強盗罪が成立するには、暴行・脅迫が財物を奪うための手段である必要があります。そのため、たとえば、加害者と無関係の第三者による暴行・脅迫により、茫然自失の状態にある被害者の周りに散乱していたバッグの中から財布を取ったような場合には、窃盗罪のみが成立し、強盗罪は成立しません。
  この例外となるのが、事後強盗昏睡強盗です。事後強盗は、窃盗犯人が財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、または罪跡を隠滅するために、暴行または脅迫をした場合で、窃盗の被害者だけでなく、犯行を目撃した第三者や通報を受けた警察官に対して暴行・脅迫を行った場合にも、事後強盗が成立します。
  昏睡強盗は、人を昏睡させて財物を盗取した場合です。昏睡の手段はアルコールや薬物、催眠術など何でもよいとされていますが、暴行による昏睡は本来の強盗罪となるため、含まれません。また、意識作用に一時的または継続的な障害を生じさせる必要はありますが、意識喪失までは要求されないとしています。このため、大量に飲酒させ、泥酔状態にしたうえで財物を摂取したような場合も昏睡強盗が成立します。
  事後強盗・昏睡強盗ともに、強盗罪として扱われるため、被害者が傷害を受けたり、死亡した場合には強盗致死傷罪が成立し、被害者を姦淫した場合には強盗強姦罪が成立します。

 次回は、強盗致死傷罪など、裁判員制度の対象となる罪について説明します。

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