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誘拐罪

 25回目の今回は、誘拐罪について説明します。裁判員制度の対象となるものは、営利目的等略取及び誘拐、身の代金目的略取等、所在国外移送目的略取及び誘拐、人身売買、被略取者等所在国外移送、となっています。多くの罪が対象となっていますが、発生件数はかなり少なく、2007年に誘拐罪全体で有罪となった者の人数は81人となっています(平成19年司法統計)。

 法律上、「略取」と「誘拐」が区別されていますが、これは手段の違いによるもので、「略取」の場合は、暴行または脅迫により、「誘拐」の場合は、欺罔または誘惑により、人を従来の生活環境から離脱させ、自己または第三者の実力支配内に移すことをいいます。

 ドラマなどでも登場する「この子の命が惜しければ、1憶円用意しろ!」は、身の代金目的略取等罪です。では、営利目的等略取及び誘拐罪は、どのようなケースなのでしょうか。これは、誘拐された人の身柄自体が犯人の利益となるような場合で、自分の商売の邪魔になる商売敵を誘拐したような場合がこれにあたります。誘拐された人の身柄自体が目的となるので、わいせつ目的誘拐や結婚目的誘拐と同じ条文に規定されているのです。

 人身売買罪は、2005年に新設された規定で、売る側だけでなく、買う側も処罰されます。人身売買罪が新設された背景には、日本において国際的な人身取引が横行しているにもかかわらず、これを処罰するための規定が存在しなかったことから、国際的批判を受けていたことがあります。こうした経緯から、同罪による検挙は、外国人を対象とした人身取引が中心ですが、日本人を対象とした人身取引においても、検挙例が出ています。

 所在国外移送目的略取及び誘拐と被略取者等所在国外移送は、いずれも国内で略取・誘拐した者を国外に送ることを防止するためのもので、人身取引の「出口」をふさぐための効果が期待されています。

 次回は、強姦罪について説明します。

○Q&Aコーナー

Q 親権を有する父親が離婚係争中の妻が養育している自分の子供を連れ去った場合でも、誘拐罪は成立しますか?
A 親権者の父親が、離婚係争中の妻の養育している長男(2歳)を連れ去ることを計画し、保育園から祖母に連れられて帰宅しようとしていた長男を抱きかかえて、付近に駐車中の乗用車に同乗させ、車を発進させて連れ去った事案で、父親に未成年者略取・誘拐罪の成立を認めています。ただ、これは例外的なケースで、通常は誘拐罪は成立しない場合が大半でしょう。

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