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内乱罪・外患罪

 27回目の今回は、内乱罪外患罪について説明します。

 刑法の個別の罪について書かれている部分の中では、一番最初に登場する罪であり、外患罪については裁判員制度の対象ともなっていますが、戦後これらの罪で起訴された事件はありません。戦前、「五・一五事件」や「神兵隊事件」で、内乱罪の適用が問題となったことがありましたが、いずれも判決では内乱罪の適用はありませんでした。

 内乱罪は「国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動」をすることによって成立する犯罪です。類似の犯罪に騒乱罪があり、ともに集団による暴行・脅迫を内容としますが、内乱罪では国の統治機構を破壊することを目的としている点が大きく異なります。
  この「国の統治機構を破壊」の判断において、重要な意義を持つのが、「五・一五事件」判決です。この事件では、青年将校が当時の犬養毅首相を殺害していますが、後の裁判で、ただ首相を殺害するというだけでは、「国の統治機構を破壊(朝憲紊乱)」にはあたらないと判断しています。内乱罪の首謀者は、死刑または無期禁錮と非常に重い刑に処されるため、事件当時の世論が首謀者に同情的だったこともあり、裁判所としても、適用の範囲をできるだけ狭めようとしたものと考えられています。

 外患罪は、外国と通謀して日本国に対して武力を行使させたり(外患誘致)、外国から武力の行使があったときに、これに加担したとき(外患援助)に成立する犯罪です。ここでいう「外国」とは、外国の政府、軍、外交使節等の国家機関に限られるとされており、国際的なテログループなどは含まれません。ちなみに、外患誘致罪は法定刑が死刑しかない唯一の罪で、日本の刑法中、最も重い罪とされています。

 次回は、放火罪について説明します。

※内乱罪について、裁判員制度対象事件であるかのような記載をしておりましたが、内乱罪の第一審裁判所は高等裁判所であり(裁判所法16条4号)、内乱罪は裁判員制度対象事件ではありませんので、訂正いたします(2010年3月29日:追記)。

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