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放火罪

 28回目の今回は、現住建造物等放火罪激発物破裂による現住建造物等損壊罪について説明します。両者はともに現住建造物等を焼損・損壊することで成立する罪ですが、その方法として、火を放つか、火薬やガスなどを爆発させるかによって、どちらの罪が成立するかが変わってきます。以下では、件数が多い現住建造物等放火罪について説明します。

 まず、「現住」とは、現に人が住居に使用しまたは現に人がいることを指します。「人が住居に使用」していれば、現に人がいる必要はありませんので、住人がすべて外出している家に放火した場合であっても、同罪が成立します。また、犯人が自分の家に放火する場合であっても、犯人以外に家族等が住んでいた場合には、やはり同罪が成立します。
  「建造物等」には、住宅やオフィスビルといった通常の建造物のほか、汽車、電車、艦船、炭鉱も含まれます。汽車や電車は一定の軌道(レール)上を運行する交通機関の例と考えられているため、ディーゼル車やモノレールなどもこれに含まれると考えられています。他方、バスや航空機は「建造物等」には含まれないとされています。

 「放火」とは、建造物等に直接火を付けるだけでなく、火のついた新聞紙を建造物に投げ込むなど、媒介物を介して目的物に点火する場合も含まれます。このように媒介物を介する場合、媒介物に点火した時点で放火罪の実行の着手が認められ、仮にこの時点で発見され、目的を達しなかった場合であっても、未遂罪となります。また、ガソリンを床にまくなど、引火性の高い物質を散布した場合には、仮に点火しなかったとしても、実行の着手が認められます。

 最後に、同罪が既遂となるには、放火して建造物等を「焼損」する必要があります。この「焼損」の意義については、いくつかの見解が主張されていますが、裁判所は、火が媒介物を離れ、目的物が独立して燃焼を継続するにいたった状態を「焼損」と考えています。ただ、現代では不燃性・難燃性の建材を使用した建物が増えてきており、目的物が独立して燃焼するのを待っていたのでは既遂時期が遅くなるのではないかという指摘もあります。

 次回は、出水及び水利に関する罪、往来を妨害する罪について説明します。

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