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通貨偽造に関する罪

 31回目の今回は、通貨偽造に関する罪について説明します。

 通貨偽造事件は、1万円札をカラーコピーして1枚使ったといったものから、専用の機械を使っても真券との区別がつきにくい非常に精巧なニセ札を大量に作成したというものまで多種多様です。「お札のカラーコピーくらいじゃ大した罪にはないだろう」と考えられる方もいるかもしれませんが、通貨偽造罪は無期または3年以上の懲役とされており、非常に重い罪です。
 
  なぜ重く処罰されるかというと、偽造通貨が出回ると、人々は「その通貨は本物なのだろうか?ニセ金をつかまされたのではないか?」と疑心暗鬼になり、通貨を利用した経済活動を控えるようになります。日本においても、偽500円玉が多く出回った際に、自動販売機での500円玉の使用ができなくなったことを覚えておられる方もいるのではないでしょうか。このように、通貨の偽造による経済活動の停滞を避けるためにも、通貨偽造罪は重く処罰され、偽造技術に対抗した新しい通貨が定期的に発行されているのです。

 通貨偽造罪で処罰されるのは、行使目的の通貨の偽造または変造です。

 まず、「通貨」とは、通用する貨幣または銀行券です。現在流通しているものでいうと、1円、5円、10円、50円、100円、500円の硬貨は貨幣、1000円、2000円、5000円、10000円のお札は銀行券です。現在の日本においては、紙幣(国が発行する紙で作られた貨幣)は存在しません。"通用する"貨幣または銀行券ですので、現在発行されていない通貨であっても、通用する限りは処罰の対象となり、例えば、500円札や100円札を偽造した場合にも、通貨偽造罪が成立します。

 次に、「偽造」とは、権限のない者が通貨に似た外観のものを作成することをいい、「変造」とは、権限のない者が真正な通貨に加工して通貨に似た外観のものを作成することをいいます。
  変造についてはわかりにくいと思いますので、例を挙げますと、銀行券2枚を表裏にはがし、切断し、糊付けする方法で、銀行券を4つ折りまたは8つ折りにしたものと思い誤らせる程度の外観、手触りを備えた紙片を作成したという事案について、通貨変造罪の成立を認めています。

 また、通貨偽造罪は、行使の目的を持っていることが処罰の条件となります。したがって、行使の目的を持たずに通貨を偽造した場合には、通貨摸造罪通貨及証券模造取締法)の成立が問題となるのみで、通貨偽造罪は成立しません。

 次回は、文書偽造罪について説明します。

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