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文書偽造に関する罪

 32回目の今回は、文書偽造に関する罪について説明します。

 文書偽造に関する罪の中には、契約書などを偽造する私文書偽造罪、公務員などが作成する文書を偽造する公文書偽造罪、公務員に虚偽の申し立てをして戸籍簿等に不実の記載をさせる公正証書原本不実記載罪などが規定されていますが、裁判員制度の対象となるのは、詔書偽造罪です。

 詔書偽造罪は、行使の目的で、御璽(ぎょじ)、国璽(こくじ)もしくは御名(ぎょめい)を使用して詔書その他の文書を偽造し、または偽造した御璽、国璽もしくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した場合に成立します。
  「御璽」とは、天皇の公印のことで、印文は「天皇御璽」です。「国璽」とは、国家を表す印で、印文は「大日本国璽」です。「御名」は天皇の署名のことで、今上天皇の場合は「明仁」となります。
  これらの御璽、国璽、御名を使って、国家機関としての天皇が発行する公文書である「証書」を偽造するのが、詔書偽造罪ですが、現行制度上は国会の召集、衆議院の解散、国会議員の選挙の施行の公示のみが詔書によって行われています。この他、法律等の公布文書、内閣総理大臣・最高裁判所長官の任命文書などを偽造することも、「その他の文書」として詔書偽造罪の処罰対象となります。
  御璽、国璽、御名が用いられる文書は、いずれも国家にとって重要な出来事ですので、詔書の偽造が重大な犯罪になるのもうなずけますが、反面で使用される機会が限られていることから、実際に処罰された例もありません。
  ちなみに、天皇の私文書を偽造した場合は、通常の私文書偽造罪が成立し、詔書偽造罪は成立しません。

 今回で刑法の中に規定されている裁判員制度の対象事件は終わりですが、刑法以外にも対象事件がありますので、次回以降はそれらを取り上げていきたいと思います。

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