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交通に関する犯罪

 36回目の今回は交通に関する犯罪を取り上げます。交通事故で人を死傷させた場合には、自動車運転過失致死傷罪危険運転致死傷罪が成立しますが、それ以外にも交通に関する犯罪がいくつか存在し、裁判員制度の対象事件となっています。

 まず、自動車道や高速自動車国道を損壊するなどして、交通に危険を生じさせ、そのことによって自動車を転覆させ、人を死亡させた場合には、無期または3年以上の懲役となります(道路運送法102条高速自動車国道法27条2項)。刑法の往来危険による汽車転覆等致死罪とよく似た規定となっています。
  このほか、人の現在する一般乗合旅客自動車運送事業者の事業用自動車(路線バスなど)を転覆、破壊し、人を死亡させた場合も、無期または3年以上の懲役となります(道路運送法101条2項)。こちらは刑法の汽車転覆等致死罪とよく似た規定となっています。

 以上は道路・自動車を保護対象とした犯罪ですが、航空機を保護対象とする犯罪もあります。こちらは、航空機の航行に対する危険が乗客の生命に与える影響が非常に高いことから、全体的に罪が重くなっています。

 まず、ハイジャックについては、航空機の強取等の処罰に関する法律で規定されています。航空機の強取のみで無期または7年以上の懲役、人を死亡させた場合は死刑または無期懲役と、非常に重く罰せられます。また、航空機を強取しなくても、航行中(すべての乗降口が閉められてからいずれかの乗降口が降機のために開かれるまでの間)の航空機を墜落させ、または破壊すると無期または3年以上の懲役に、墜落させて人を死亡させた場合は、死刑または無期もしくは7年以上の懲役となります。
  上記に加え、航空機が運行をしていない期間であっても、航空機の航行準備が開始されてから着陸後24時間の間に、航空機の航行の機能を失わせたり、航空機を破壊することで、人を死亡させた場合は無期または3年以上の懲役となります。

 これらの犯罪は、刑法ができたころには想定していなかった、航空機や自動車による輸送の発達を念頭に、これらの安全を確保するために設けられた罪であるといえます。

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