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人質強要罪

 38回目の今回は人質強要罪を取り上げます。

 テレビドラマなどで、犯人が人質に凶器を突き付け、「こいつがどうなってもいいのか!返してほしければ、金を持って来い!」といったシーンがよく登場します。この行為に刑法だけをあてはめると、逮捕監禁罪強要罪が成立し、7年6月以下の懲役となりますが、窃盗罪(10年以下の懲役)と比べても軽い罪となってしまい、バランスを欠く結果となります。

 そこで、こういった人質による強要行為を特別に処罰するために設けられたのが、「人質による強要行為等の処罰に関する法律」です。同法によると、人を逮捕し、または監禁し、これを人質にして、第三者に対し、義務のない行為をすることまたは権利を行わないことを要求した場合、6月以上10年以下の懲役となります(同法1条1項)。

 また、こうした人質による強要行為は、複数の犯人によって行われることが多いですが、刑法の規定のみでは、共犯者が何人いても罪の重さは変わりません。しかし、組織的に行われる人質による強要行為は、1人で行われる場合に比べて、人質の救出が困難となり、人質に危害が及ぶ可能性も高くなりますし、犯人たちが要求通りの結果を得て、逃走しやすくなります。
  そこで、同法は、2人以上が共同して、かつ、凶器を使用して人質を取った場合には、より重い罪を科すことにしています。この場合、無期または5年以上の懲役となり、裁判員制度の対象事件となります。

 さらに、人質を殺害した場合には、死刑または無期懲役となります。有期の懲役刑が規定されていないため、非常に重い罪といえます。

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