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決闘罪

 39回目の今回は決闘罪を取り上げます。「決闘」という言葉を聞くと、時代劇か西部劇の世界を思い出しますが、現代の日本でも通常の刑罰とは別に罰せられています。

 決闘罪について定められている「明治22年法律第34号(決闘罪ニ関スル件)」によると、

  • 決闘を挑んだ者、またはこれに応じた者は、6か月以上2年以下の懲役
  • 決闘を行った者は、2年以上5年以下の懲役
  • 決闘の立会人や決闘の場所を提供した者は、1か月以上1年以下の懲役

などが定められています。

 裁判員制度の対象となっているのは、決闘を行い、人を死亡させた場合(決闘殺人)です。
  これまで取り上げてきた「○○殺人罪」(人質殺人罪など)は、通常の殺人罪よりも重く規定されていましたが、この決闘殺人罪は通常の殺人罪と同様に処罰すると規定されています。そうすると、わざわざ決闘殺人罪を定める必要はないように思われるかもしれません。
  実は、ここに決闘の特色があるのです。長年の恨みや抗争に決着を付けるための勝負が決闘ですから、決闘を挑む側も応じる側も、自分が敗れたときにはただでは済まないことを理解していますし、その結果を受け入れるつもりで決闘に臨むわけです。とすると、敗者に生じた死傷の結果について、被害者の同意があったとされ、通常の刑法の規定を適用すると罪が軽くなってしまいます。そこで、決闘殺人の場合には、通常の殺人罪が成立し、同意殺人罪が成立しないと定めることで、こうした問題を解決しているのです。

 とはいえ、決闘罪が成立するケースは非常に少なく、通常は殺人罪が適用されます。「決闘」の明確な定義があるわけではありませんが、偶発的なけんかではなく、決闘の「場」において、立会人のもと、対等な当事者が闘うという形式が決闘罪には必要とされているためと思われます。その意味では、ちょっとしたことで殺人に至ってしまう現代では起こりにくい犯罪といえるかもしれません。

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