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携帯電話と解約料~なぜ解約料は違法でないとされたのか?~

 携帯の基本使用料を値引く一方、指定月以外の解約に対しては解約料を求める「解約料条項」。
無料で解約できるのは契約2年後に1か月だけ設けられた「契約更新月」のみで、それ以外は9,975円の解約料がかかるのが一般的です(いわゆる「2年縛り」)。

 前回、京都の消費者団体が、消費者契約法違反を理由に、この条項の差し止めを求めて大手携帯会社各社を訴えたと話しました。
他の携帯(PHS)会社も同様の条項を設けているため、これら裁判の判決は今後の携帯業界に大きく影響するものとして注目されていましたが、先日下されたNTTドコモ訴訟の判決は「請求棄却」でした。

 京都地裁は、どうしてこのような結論に至ったのでしょうか?

 前回も触れたとおり、解約料条項が違反するとされた法律は、主に

  1. 「平均的損害を超える違約金を定めてはいけない」とする消費者契約法9条1項
  2. 「消費者の利益を一方的・不当に阻害してはいけない」とする同法10条

の2つです。

 Iを考える上でのポイントは、「平均的損害」とは何かということです。

 消費者団体は解約料条項を「短期間で契約解除した場合、顧客側の支払う9,975円が携帯会社の損失を大きく上回る」などと批判していました。
「平均的損害」は個々の顧客の事情を考慮して導かれるべきであるところ、解約料条項はその視点が抜けているというのです。

 しかし、地裁は、「平均的損害」を導く際、このように顧客各人の事情を考える必要はないとしました。
地裁によれば、「平均的損害」は、携帯会社と顧客全体が結んだ多数の契約に関して

 携帯会社が被った損害額 ⇔ 顧客の負担すべき額(携帯会社が損害賠償を請求できる額)

 を揃え、顧客の負担が不当に膨らまぬよう歯止めをかけるためのものというざっくりとした認識です。
そのため、「携帯会社の損害」と「顧客の負担」は顧客ごとの細分化された額ではなく、それぞれひとかたまりの総額・総和で考えればよいとしました。

 そして、たとえ携帯会社の損害が「平均的損害」を上回っていても、顧客に対し「平均的損害」以上の額を請求することはできないのですから、反対に携帯会社の損害が「平均的損害」を下回っている場合も顧客側は「平均的損害」額の支払を甘受すべきとの見解を示しています。

 次に、IIで大切なのは、本当に顧客側は一方的・不当に利益を害されているのか?ということです。
これについて地裁は、本来、顧客は標準の基本使用料金を支払うべきところを、2年縛りの条項によって割引を受けているので、顧客が解約料を支払う理由はあるとしました。
また、解約までの2年が不当に長いかについては、中途解約をする人の平均経過月数が14か月である点を受け、14か月あれば解約権の制限に見合った対価、つまり9,975円以上の利益を受けたといえるため、制限期間が不当に長いともいえないとしています。
さらに、2年縛りの含まれるプランについては、「ひとりでも割」など、プラン名に「割引」を示す「割」の文字を入れているうえ、パンフレットなどで解約料発生の条件等についての記載を徹底するなど、解約料条項の説明を十分に行っていることから、携帯会社と顧客との間に一方的な情報量等の差は認められないとも述べています。

 以上の理由から、京都地裁は契約料条項を適法と認めたものと思われます。

 今年の5月30日にも、高松地裁で解約料の返還を求めた裁判の判決があり、やはり原告の請求が棄却されました。
どちらの判決もまだ地裁段階なので何とも言えませんが、解約料条項は今後もしばらく続きそうです。

credit:ハーモニー・アイ「ユーザーと共に行動し携帯の使い勝手を体験・検証する交流会」 / jetalone

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