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所持品検査

 路上で警察官に呼び止められ、「すみませんが、かばんの中身を見せてもらえますか?」と聞かれたら、あなたはどうしますか?特にやましいことがなくても、「はい、わかりました」とは、なかなかいかないもの。やましいところがあれば、なおさらです。

 では、明らかに怪しい人がいても、所持品検査に応じなければ見逃すしかないのでしょうか。昭和46年7月に起きた松江相銀米子支店強奪事件では、この点が問題となりました。

 昭和46年7月、松江相互銀行米子支店に猟銃とナイフを所持した4人組が押し入り、600万円を奪って逃走。事件当日の深夜、警察官は手配人相に似た男2人が乗った車を発見し、職務質問を始めました。車内にはアタッシュケースとボーリングバッグ。警察官はバッグを開けるように再三求めましたが、当人は応じません。ついに警察官は承諾を得ないままバッグのチャックを開けます。すると中には大量の紙幣が。さらに、施錠されたケースをドライバーでこじ開けると、帯封をした大量の札束。そこで、警察官はすぐにこれらを差し押さえ、緊急逮捕。被告人はその後、強盗罪で起訴されました。

 弁護側は同意を得ずにバッグが開けられたことは、人権を保護するために、裁判官によって認められた場合に限って、捜索を行うことができるとされている憲法や法律の規定に反し、違法であり、その結果見つかった紙幣は有罪認定のための証拠とすることはできないと主張しました。

 これに対して裁判所は、「職務質問に附随して行う所持品検査は所持人の承諾を得てその限度でこれを行うのが原則であるが、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、たとえ所持人の承諾がなくても、所持品検査の必要性、緊急性、これによって侵害される個人の法益と保護されるべき公共の利益との権衡などを考慮し、具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容される場合がある。」としたうえで、不審な挙動を取り続ける者に対して、容疑を確かめる緊急の必要上、承諾を得ないままバッグを開けることも職務質問に附随して行う所持品検査として許容されると判断し、紙幣を有罪認定の証拠とすることができるとしました(最高裁昭和53年6月20日判決)。

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