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強盗罪の暴行脅迫

~最高裁昭和23年11月18日第一小法廷判決~

 「強盗」と一口に言っても、状況によってその恐ろしさはさまざまです。
 屈強な成人男性が小柄な少年に脅される場合と、お婆さんが成人男性に脅されるのとでは、被害者の怖がりようは違うでしょうし、脅し方だって、気弱な犯人と胆の座った犯人とではまた違うはず。

 このうち、刑法上の「強盗罪236条)」として扱われるには、「被害者の反抗を抑圧するに足る程度」の暴行・脅迫を用いて他人の財物を奪取したという事実が必要です。
 暴行・脅迫を用いて財物を奪っても、その程度が軽く、被害者の反抗を抑圧するまで至らなかった場合は、恐喝罪同249条)が適用されます。

 本件では、この「被害者の反抗を抑圧」という部分が、事実として完全に抵抗できない状況を指すのか、それとも一般的に抵抗できないであろう状況を指すのかが争われました。

 午前1時頃、被告人X・Y・Z(いずれも18歳未満の少年)は、共謀して時計商Aの家の勝手口から屋内に侵入します。
 XとYはそれぞれ草刈鎌を、Zはナイフを被害者Aらに突きつけながら「静かにしろ」「金を出せ」などと言って脅迫し、Aらを畏怖させて、現金3170円、腕時計、懐中時計、ライター等四十数点を強奪しました。

 原審は、Xらの暴行・脅迫がAらの反抗を抑圧する程度であったと認定し、Xらに強盗罪を成立させました。

 これに対しX側は、被害者の精神・身体の自由を完全に制圧していなければ強盗罪は成立しないと主張。
 その上で、本件の暴行・脅迫はまだ十分に被害者の心身の自由の余地を残しているのに、恐喝罪でなく強盗罪を適用しており、法律の適用を誤っているとして上告しました。

 最高裁は上告を棄却。
 強盗罪の成立には被告人が社会通念上被害者の反抗を抑圧するに足る暴行または脅迫を加え、それによって被害者から財物を強取した事実があれば足りるのであって、被害者が被告人の暴行脅迫によってその精神および身体の自由を完全に制圧されることを必要としないと示しました。
 凶器を突きつけつつ金品を要求した本件の場合、実際にAに自由の余地があったかはともかくとして、社会通念に照らして被害者の反抗を抑圧するに足る暴行・脅迫を加えたといえるし、それによって財物を強取した事実がある以上、原審の判断に何ら誤りはないとしたのです。

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